風力、太陽光、あるいは燃料電池を使用して動作するさまざまなデバイスがすでに登場している。さらに、通話するだけで携帯電話に充電でき、バッテリも電源コードも不要、ということになったとしたら、どんなことになるだろうか。
電源コードやバッテリは過去の遺物となるか?(提供:CBS Interactive)
これを可能にするのが物理的な力を電気へと変換する圧電素子だ。圧電素子は、たばこ用ライターやバーベキューグリル用の点火装置などに採用されている。点火ボタンを押すと結晶に加えられた圧力によって内部で電圧が発生し、火花を発する仕組みだ。
原理上は音の振動も圧力なのだから変換すればデバイスに電力を供給できるはずだ。
このような圧電効果を発生させるには、特定の大きさの結晶あるいはセラミック素材を使った感受素子が必要となるだろう。技術者らは、結晶が最も効率良くエネルギーを生成するポイントを特定したことで、すでに開発の初期段階に到達した、としている。
エンジニアでもあるテキサスA&M大学のTahir Cagin教授によると、チタン酸バリウムの結晶サイズをおよそ23ナノメートル(nm)にすると、結晶が電力を生成する能力は2倍になるのだそうだ。23nmがどんな大きさか分かりやすいよう比較のための例をあげると、人間の髪の毛の太さは10万nmほどだ。
しかし、この発見を実用化するには、数年から数十年はかかるだろうと同氏は言う。
「ある大きさから生成できる電力量には限りがある」とCagin教授。また、「iPod」や携帯電話には、同氏の研究結果とは異なる大きさあるいは組成のナノ素子が必要になるかもしれないとも述べた。
ぜんまい式ラジオや振るだけの懐中電灯など、運動エネルギーを電力として使うデバイスはすでに存在する。腕に装着して踊りの動きから電力を得るiPod用の充電器も実用化に向けて開発されている。また、M2E Powerは、動きを電力に換えるユニークな充電式乾電池を開発中で、2009年中には製品化されると見込まれている。
商用電力ではない「グリーン」な電力を得る目的で、より規模の大きな場面でも圧電素子の利用は広まっている。ロンドンとオランダのナイトクラブでは踊りのエネルギーから電力を得る床発電を導入しているし、サンフランシスコのナイトクラブも先例に従うようだ。また、オレゴン州ポートランドにあるスポーツクラブは、750Wの電力が得られるエクササイズ器具を一部導入している。
ヒューストン大学の技術者との共同研究によるCagin氏の成果は、専門誌「Physical Review B」の秋号に掲載される。
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