ビッグデータのライフサイクル管理の重要性
渋谷氏:日立さんが提唱するビックデータのライフサイクルという視点は、そうした意味からも共感できます。まず、データが見える状態でないと何も管理できませんから、蓄積・検索はしてほしいですし、次の段階として、その結果を集計・分析してほしい。その際には、業務担当者、マーケティング部門、経営企画などそれぞれが、自分に必要なKPIを見て、直感的に判断できることが重要だと思っています。また、意思決定の際のリアルタイム性も求められます。
赤城氏:そうですね。ビックデータのライフサイクルがリンクしやすい分野としては、例えばコンタクトセンターが挙げられると思います。コンタクトセンターに寄せられる顧客の声などを、リアルタイム監視、蓄積・検索、集計・分析、フィードバックといったサイクルに結びつけ、CRMや顧客サポート、満足度向上のBPMに活用していくというものです。実際、メーカーや流通のCIOクラスの方にうかがうと、「基幹システム上で取り組みを進めているが、まだまだ不十分」と仰られます。そこで非構造化データを組み合わせて取り組みを進めようという期待が高まっています。コンタクトセンターは、ビッグデータによりイノベートされる可能性が高いと思います。
渋谷氏:ライフサイクルにおける組織と人のあり方をさらに進めると、ビッグデータを活用したスマートシティのような将来像も描かれていきます。例えばビル全体の消費電力量に応じて、社員の帰宅時間を調整し、その情報と連動して電車の稼働率を上げるといったことです。その辺りは、鉄道や電力、物流といった社会インフラを手がける日立さんの役割にも期待しています。
ビックデータ活用が競合との差別化になる時代
山口氏:スマートシティが目指すような、社会全体でビッグデータを活用していく動きは今後重要になってくると考えています。ある情報は自分が持っていても役に立たないけれど、それを別の人が持っていると有益になるという情報はたくさんあります。
赤城氏:同感です。そこで重要になるのは、企業が共同で利用する情報と、独自に工夫することで差別化する情報とをきちんと使い分けることです。例えば、自動車で言えば、安全性については業界を上げた取り組みとして、業界としてビッグデータを活用していく一方で、顧客満足度の向上などについては、各社が独自にビッグデータに取り組み、差別化を図っていく。ここで、忘れてはいけないのは、ビッグデータに対する取り組みはすでに始まっているということです。取り組みを進めないということは、その競争から降りることにつながってしまう可能性がある。
渋谷氏:そうですね。かつてITを導入しないという選択がありえなかったの同様に、いまビッグデータに取り組まないというのはありえない選択だと言えるかもしれません。幸い、今回のソリューションのように、企業の規模にかかわらず取り組みを進めることができる状況はすでにあります。自社にデータがあり、調べたら価値があるのではないか、と考えているなら、まずは試したほうがいいと思います。
何もしないよりも、試せることは試すべきでしょう。
山口氏:お二方の「第一歩が大事」というご意見は、我々も参考になります。今回は日立のアプローチのいくつかをご紹介しました。ビッグデータの利活用についてお悩みをもたれている方は、ぜひ我々にご相談頂ければと思っています。
本日はありがとうございました。
赤城氏、渋谷氏:ありがとうございました。