ビッグデータの戦略活用を加速する IBMの先鋭テクノロジー

月額5,250円の「DWH as a Service」

 周知のとおり、IBMはクラウド・ソリューションの強化・拡充に力を注ぎ、2013年には、IaaSサービスを中核とするクラウド・プロバイダー、SoftLayerを買収。巨費を投じて、そのデータセンターの拡張を急ピッチで進め、2014年12月にはSoftLayerの東京データセンターも開設している。

 そうしたクラウド戦略の一環として、IBMはPaaS環境「Bluemix」のサービスも展開しているが、前述したdashDBは、このBluemix上で提供されるDWHサービスだ。このDWHサービスは、DB2/NetezzaのBLUアクセラレーション/In-DBアナリティクスなどの機能・技術を組み合わせたものであり、月額5,250円の低料金で提供される。現時点(2014年12月時点)でのデータ容量は10GB(データ圧縮がかかるため、実質的なデータ容量は40~50GBに相当)だが、将来的にはTBクラスの容量をサポートしたdashDBサービスも提供される計画だ。

 dashDBでは、各種BIツールやR言語、マイクロソフト「Excel」、地図アプリケーションなどの利用をサポート。また、Netezzaが提供する1千数百種の分析関数も順次移植される予定で、「IT技術者ではない、一般のビジネスパーソンでも使いこなせるようなアナリティクス・サービスとして仕上げていきます」と一志氏は説明する。

 現在、営業やマーケティング、顧客サービスといったビジネスの現場では、Excelなどのツールを用いて、データの集計・分析の処理を日々行っている。dashDBは、こうしたデータ集計・分析の処理効率を高めるための環境だ。サービス料金が低価格であることから、手軽に、そして必要に応じてアナリティクスが始められるといったアドバンテージがある。

 また、もう1つdashDBの注目すべき特徴として、Cloudantとの連携が可能であり、同サービスがサポートする「JSON(JavaScript Object Notation:Webドキュメントを記述するための標準的なデータ・フォーマット)」形式データの分析環境として利用できる点が挙げられる。「JSONは、Webの世界で広く利用されているデータ形式ですが、その形式のデータを分析する有効で高効率の手だてはありませんでした。dashDBは、その問題を解決する決め手となりうるものです」(一志氏)。

 なお、Cloudantは、2014年3月にIBMが買収したDBaaSプロバイダーだ。現在、CloudantのサービスはSoftLayer上で提供されており、そのNoSQLデータベース上では、JSON形式データに加えて、通常のテキスト・データや地理空間データを管理することができる。また、複数のデータセンターをまたいだデータ複製や、モバイル端末のアプリケーションとのデータ同期も取ることも可能だ。

 そうしたCloudantの環境をオンプレミス上でも実現できるようにしたのが、前述した「IBM Cloudant Data Layer Local Edition」ということになる。

 このような製品を提供する理由について、一志氏は以下のような説明を加える。

 「クラウド環境は優れた仕組みですが、大量データの分析結果を常に高速に得たいと考える企業にとって、オンプレミスよりもクラウド環境のほうが適しているとは言いがたく、コスト・パフォーマンスの面でも、オンプレミスでアナリティクスの環境を構築したほうが最終的に安上がりになる場合も少なくありません」

 また、分析対象に機密性の高いデータや、日々発生する大量の業務データが含まれている場合、それらをわざわざ社外のクラウド上に持ち込み、分析するというのも現実的な解とは言えない。

 「ですから、お客様にとって大切なのは、オンプレミスとクラウドのソリューションを適材適所で利用できることなのです」と、一志氏は語り、こうIBMの優位性を訴える。

 「IBMのビッグデータ/アナリティクスのソリューションは、オンプレミスでも、クラウドでも、同じ機能、同じ技術、同じスキルが使えますし、必要に応じて、オンプレミスの環境をクラウドに移行させたり、その逆を行ったりすることも可能です。そうした自由度の高さは、IBMのソリューションゆえの特徴なのです」

IBMソリューションの真価

 dashDBと同じく、IBM DataWorksもBluemix上で提供されるサービスの1つ。業務システムのデータやクラウド上で収集したデータを、dashDBなどの環境に取り込むためのETLサービスだ。クラウド環境におけるデータ品質の課題を解決し、業務データを分析に適したかちに「浄化(Refinery」する機能を提供する。現時点(2014年12月時点)では、dashDBにバンドルされて提供されているが、将来的には、Watson Analyticsからの利用も可能になるという。また今後は、データのマスキング(伏せ字)機能や情報のマッチング機能、オンプレミスDWH環境との連携機能も提供されるもようだ。

 このほかIBMでは、Hadoopディストリビューションの「IBM InfoSphere BigInsights」もSoftLayer上で提供し、「Hadoop as a Service」を実現している。

IBM InfoSphere BigInsightsのイメージ図 IBM InfoSphere BigInsightsのイメージ図
※クリックすると拡大画像が見られます

 SoftLayerでは、共有型のサーバのみならず、顧客占有の物理サーバ(ベアメタル・サーバ)もオンデマンドのクラウドサービスとして提供しているが、このサービスとIBMのHadoop as a Serviceを組み合わせることで、自社専用のビッグデータ分析の環境をすみやかに構成することが可能になる。また、IBM InfoSphere BigInsightsでは、SQLを通じたHadoopデータへのアクセスや、R言語によるデータ・マイニングなどの機能も用意されている。

 「IBMは、単なるデータベースのプロバイダーでもなければ、データベース・アプライアンスやクラウド専業のベンダーでもありません。我々の価値は、ビッグデータ/アナリティクス領域における4万件もの実装経験と4,800件もの技術特許、70を超える業種別のユースケース、そして2,500以上のビジネス・パートナーを持ち、お客様にとって最適なビッグデータ利活用のソリューションを、オンプレミスとクラウドにまたがって提供することができることです。それは、IBMの最大の強みであり、アドバンテージであると確信しています」と、一志氏は話を締めくくる。

 米国ではすでに、Watsonを用いて旅行ツアーの最適計画を推奨する新たなサービスが立ち上がるなど、IBMテクノロジーを用いたビジネス革新の動きが活発化しているという。ビッグデータ/アナリティクスを経営/ビジネスのイノベーションに活かす――。この流れに乗り遅れないためにも、IBMソリューションの動きに常にアンテナを張り巡らせておく必要がありそうだ。


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