リスクを克服し、競争力を身につける 日本IBMが実践するリスクマネジメント/BCPとは

── BCP/BCMを実践するにあたって重要なことは

齋藤氏:いずれの企業においても、すでに何らかBCPを作成していると思われます。しかし重要なことは、この計画に「魂」を入れて、適切に運用し、生きたものにすることです。この魂というのは、具体的には次の2つのことを示しています。

 1つは、強力なリーダーシップです。経営者や担当役員が、どれほど高い意識をもって、社内でBCPの重要性を訴え続けることができるか。これらに成否がかかっているといっても過言ではありません。日本IBMにおいては、長年にわたって災害対策を担当している副社長が、非常に高い意識を持ってリスクマネジメントをリードしています。

 もう1つは、社員一人一人の意識です。なぜBCPが必要なのか、取り組まなければならないのかということを全員が理解して、計画を遂行する必要があります。

 特に社員の意識については、多くの企業で課題として取り上げられていることでしょう。組織の規模が大きくなればなるほど、すみずみまで徹底させることが困難になるためです。

 さらに具体的に言えば、先に述べたようなBCPを適切に運用するための体制作りが重要です。現場のマネジメント層を巻き込んで、啓蒙活動と教育を定期的に行っていくことが必要だと感じています。

── 社員の意識を高めるため、日本IBMではどのようなことを実践しているか

齋藤氏:年に一度、本社で一斉避難訓練を行っています。前回は、約5,000人の参加者が、25階建てのビルから非常階段を使って1階まで避難するという訓練を実施しました。たいへんな訓練ではありますが、社員にも定期開催として周知徹底されており、みな積極的に参加してくれました。

 また当社は、社員の家族を含めて問題がないかどうかをチェックするなど、安否確認メール等で自動的に行うシステムを準備していますが、これも年に数回、定期的な訓練を実施しています。

災害対策本部のコミュニケーションツールと管理体系
※クリックすると拡大画像が見られます

 さらに社員には、緊急時の連絡先を示した「緊急連絡カード」を携帯させるなど、啓蒙活動にも取り組んでいます。

 こうした教育や啓蒙活動は、避難訓練などの様子を見ると、効果を発揮しているように感じます。安否確認の訓練も、毎回100%に近い社員の参加を得て実施しています。面倒だと感じる方もいるかもしれませんが、全員が成すべきこととして捉えているようです。

 しかし、これで完璧かと問われると、答えにくいところです。社員全員に徹底することは永遠のテーマですが、継続的に取り組まなければならないことなのです。

── 東日本大震災の経験は生かされているか

齋藤氏:震災当時は、東京・日本橋の本社ビルも大きく揺れたことを記憶しています。交通機関のマヒによって、宿泊した社員も大勢いました。保存されていた非常食を初めて使う機会になったのですが、ここで問題が発生しました。

 その時、非常食は、25階建てのビルの20階に集中して保管されていました。受け取りに来るようにアナウンスしたものの、エレベータは停止していましたので、階段を使う必要がありました。私は上階に席があったので比較的楽でしたが、下階から登ってくるのは大変だったことでしょう。かなりの混雑もありました。

 その後、非常食を含む緊急備品は各階にある程度の量を確保し、それ以外は3階と15階に集中して保管するように見直されました。

── 企業のBCP推進に対してどのような支援を提供しているのか

齋藤氏:IBMは、1990年代にビジネスの舵を大きく切り、サービスビジネスを推進する方向へ進みました。当社の役割はお客様のビジネスへの貢献であるという方針へシフトしたのです。これは、2003年に作成されたIBMグループ全体で共有する価値観「IBMers Value」において、「お客様の成功に全力を尽くす」という項目として具現化されています。IBMの中で実践した変革を、積極的にお客様へ届けようという考え方です。

 これは、BCPについても同様です。当社が実践しているBCP/BCM、災害対策、クライシスマネジメント、エンタープライズリスクマネジメントなど、ITの仕組みやコンサルティングプロセス等のみならず、実際に経験して得られたノウハウまで、様々なフレームワークやメソドロジー、ソリューションとしてすべてを提供する準備を整えています。

 ぜひ当社の知見を最大限に活用し、最適なBCP/BCMを実践していただきたいと思います。

IBMの知見がつまったSmarter Risk Management

 日本IBMが実践しているリスクマネジメント/BCPに関するノウハウ・知見は、多くの企業にとって非常に貴重な情報源であるはずだ。彼らの経験が、他の企業に広まり、やがては社会全体に広まることで、齋藤氏が冒頭に述べたように、2020年東京オリンピックに向けた「安全な日本」が作られていくに違いない。

 IBMでは、具体的なサービスの例として、「Smarter Risk Management」キャンペーンを実施している。

 企業のビジネスは、ITセキュリティのリスク、ITに起因する業務停止のリスク、機械損失を含むビジネス成長停滞のリスク、そして事故・災害時の不適切な対応による社会的信用を損なうリスクにさらされている。しかし、ただリスクに怯えるのではなく、リスクへ立ち向かうことで、競合との差別化を図り、競争力を身に付けることが可能なはずだ。本キャンペーンは、そうしたプロアクティブな対応のための情報・ノウハウをまとめ、さまざまなサービスや支援を提供するものである。

 Smarter Risk ManagementのWebサイトには、調査レポートやホワイトペーパー、IBMが経験した事例など、リスクマネジメントに関する多数のコンテンツが用意されている。まずはこれらを読み込んで、自社の仕組みづくりに励んでいただきたい。

インフォメーション

リスク対策.com主催『危機管理カンファレンス2014』日本IBM 齋藤守弘氏による講演「グローバル事例と知見に基づいた日本における危機管理のあり方」の動画・資料は以下にて公開しております。

>> 動画を視聴する

>> 講演資料をダウンロードする

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