企業が管理するPCから個人所有のPCへ

人々の働き方が多様化し、PCは会社が社員に支給するものではなく、個人所有のものを活用すればよいのではないかという考え方もではじめている。

文:Gordon Haff(Special to CNET News.com)
翻訳校正:川村インターナショナル  2008年11月12日 08時00分

仕事や働く人々の特性の変化

 勤務する場所も社外に広がり始め、契約単位あるいはプロジェクト単位で働く人が増えている。個人と職業人としての立場が混在するようになってきた。こうした状況を考え合わせると、「これは公式な業務のみに使用すること」といった堅苦しい警告のついたノートPCを誰かに貸し与えるなどということは、IT部門にとって、現実性がますます乏しくなってきたといえる。コンサルタントやその分野の専門家などをプロジェクトごとに集める企業で、前述のような個人利用のPCの考え方を全面的に推進しているという話をその企業のITマネージャーから聞いたが、驚くにはあたらなかった。

セキュリティモデルの変更

 仕事をする場所や使用するデバイスが限定されない業務が増え、さらに、一部前述した理由によって、「堀」で囲まれた社内を社外と区別する広い意味での二元的なセキュリティのアプローチはもはや通用しない。またパートナー企業などに、IT部門が管理していない機器から社内インフラへのアクセスをいったん許可してしまえば、特定のデバイスの特徴に依存するセキュリティモデルから、ユーザーロールやパーミッションに基づいたセキュリティモデルへの移行を余儀なくされる。

仮想化、リッチインターネットアプリケーション(RIA)、アプリケーション配布メカニズム

 最後に大事なことにも触れておこう。最近になって、企業アプリケーションやさらにはOS全体のイメージを個人PC内に隔離した状態に維持してくれる高機能なツールが登場してきた。「VMware ACE」はこのような目的に特化した製品の1例である。ただし、現在、多くのソフトウェアサービスがウェブブラウザを介して提供されるようになっているため、通常の方法で企業ネットワークに接続する必要性が減っているのも事実だ。

 私は企業内のすべてのPCが個人所有になるということを言いたいわけではない。実際のところ、以前に書いた記事のように、セキュリティなどの理由を背景に、シンクライアントに多くの可能性があると考えている(本質的には正式なITインフラストラクチャの一部だ)。しかし、ノートPCがよりユビキタスになるのに伴い、アプリケーションがウェブから利用できるようになり、そしてセキュリティがデバイスベースからユーザーベースへと移行するにつれて、よりパーソナルなPCの時代へと進むことになるだろう。

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