「イマーシブ」はコンピューティングのメインストリームとなり得るか?

コンピューティング環境にユーザーを没頭させようという「イマーシブ(没入型)コンピューティング」が提唱されている一方で、若者に限らず多くの人々は、ほかの作業をしながらパソコンを使う「ながら」的な使い方になじんでいる。

文:Gordon Haff(Special to CNET News.com)
翻訳校正:川村インターナショナル  2008年12月24日 08時00分

 読者諸氏は私が取り上げた製品やテクノロジのフィデリティがかなり低かった点を指摘するだろうし、その指摘はおそらく正しいだろう。しかし、今や、より高いレベルの画質を実現するテクノロジとネットワークインフラストラクチャが利用できるようになった。しかも、専用ルームを使用する次世代のビデオ会議システムに確実なニーズがあることを考えると、HPの「Halo Collaboration Studio」やCiscoの「TelePresence」といった見事な製品によって開拓される新たなマーケットが誕生しつつあるようにもみえる。

 とはいうものの、1対1のコミュニケーションや気のおけない少人数でのコミュニケーションでは、動画は役立つどころか依然として妨げになっているようにも思われる。

 この問題の最大の理由は、1つの作業だけに集中(没入)することを意味する(実際には、意味するというより、没頭しなくてはならない)からではないかと私は考えている。にもかかわらず、良いか悪いかはともかく、学校や職場に入ってくる最近の世代の若者たちは、複数の作業を同時に処理するタイプが多いようだ。この世代の典型的な様子を説明するフリーライターのHelen Laggatt氏の文章を引用してみよう。

 「ミレニアルズ世代(1980年代およびそれ以降に生まれた世代)は複数の同時作業を見事にこなす。テレビの前に座りながら、「iPod」を聴いて、友達とメールでやりとりし、インターネットサーフィンを行う世代だ。彼らはオンライン環境やモバイル環境を自分専用にカスタマイズすることを好み、日々の暮らしを楽にするツールを調達して取り入れることができるのだ」

 広く言えば、私たち皆のほとんどが、注意力を複数の行動に分散させる傾向をかなり持っているということであり、この見方に異論はないだろう。このことは私たちが利用するツールにも反映されている。電話の代わりにインスタントメッセンジャーと電子メールがよく利用されるが、これは(さまざまな理由があるにせよ)絶対的な意味で優れているということではなく、会議の途中でも邪魔にならずに携帯電話やノートパソコンから送信できるということがあるからだ。

 「イマーシブ(没入型)コンピューティング」は実際に起きているトレンドだ。もう画質のよくないグラフィック画面や小さなPCスピーカーの時代に後戻りはしないだろうう。けれども、あらゆるところでイマーシブコンピューティングが利用されるようになる、といったことはおそらくないだろう。

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http://japan.zdnet.com/extra/green-enterprise/datacenter/story/0,3800089561,20385618,00.htm
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