音声物流のパイオニア ヴォコレクトジャパン「Vocollect Voice World 2013」レポート

"人"を中心にハードとソフトがサポートする


ヴォコレクト・ジャパン株式会社 内田雅彦社長

 数々の問いかけから、気づきを与えてくれた西成教授に続き、ヴォコレクトジャパンの内田雅彦社長が登壇。西成教授の講演内容に触れ、ヴォコレクト音声ソリューションが流通で生じる"渋滞"を防ぐことをアピールした。

 「人の渋滞は一定のリズムで緩和できると西成教授は仰っていました。"音声"もまたその効果を持つのではないでしょうか」(内田社長)

 しかし、ヴォコレクト音声ソリューションの本懐は、効率と"人"の変化対応力を向上させることだ。実際に同ソリューションを導入した企業は20〜50%弱に及ぶ生産性向上を実現したほか、ピッキングミスを含めた作業上に生じる人為的なミスを大幅に減らしたと言う。この理由は何だろうか。

 内田社長は、現場の"人"に着目したと語る。専用のヘッドセット「Talkman」を装着し、両手と両目が常に自由な状態で使える。ハンディスキャナーを使っていた際は、ピックアップする荷物をリストを見て確認する、荷物をピックアップする、"在庫管理"のためにハンディスキャナーで読み込む、の一連の動作を要していた。

 しかし、実際にTalkmanを装着しピッキング作業を行っている動画では、作業員の視点は、荷物をピックアップした瞬間に次のピックアップ対象へ移っており、立ち止まることがなかった。内田社長が言うように、音声がリズムをもたらし作業をスムーズにさせているのではないだろうか。

 西成教授が冒頭に出した「ハードとソフト、人」に照らせば、ハードであるTalkmanとソフトに当たる“声”が人をサポートする三位一体となった理想の形と言えるのではないだろうか。導入企業の作業効率が向上したことも納得がいく。

「精度と効率が向上した」


DHLサプライチェーン
執行役員 阿部豊氏

 午後の部では、ヴォコレクト音声ソリューションを導入したDHLサプライチェーンやヤマエ久野、安田倉庫が導入に至る背景から効果を解説した。DHLサプライチェーンは、グローバル規模で展開するロジスティクスの代表的な企業。セッションには、同社の執行役員阿部豊氏が登壇し、自社の倉庫の状況を紹介するとともに、同ソリューションを導入したことで作業効率とともに作業の精度が向上したと語った。


ヤマエ久野 物流部 次長
宮嵜務氏

 福岡に拠点を置き、九州を中心に山口から水戸までの南日本へ弁当や生鮮品、酒類など"食"の物流を手がけるヤマエ久野では、同ソリューションを導入したことで、作業の正確性向上を狙うとともに、作業の見える化を実現し、顧客からのクレーム0件を達成したと同社物流部次長の宮嵜務氏が発表した。


安田倉庫 物流推進部 業務役
秋田道雄氏

 そして、ヴォコレクトジャパンのユーザ会代表でもある安田倉庫の物流推進部業務役、秋田道雄氏は同ソリューションの活用事例や新人教育への考えかたなど、多方面で応用できるソリューションであることをユーモアを交えながら語った。

"音声"が描き出す未来へ


ライノス・パブリケーション
代表取締役社長 大矢昌浩氏

 最後の部では、月刊ロジスティクス・ビジネス(LOGI-BIZ)の編集発行人でありライノス・パブリケーションの代表取締役社長でもある大矢昌浩氏が登壇し、物流の"現場"にフォーカスした統計情報を挙げ、ロジスティクスの現場の収益性、ビジネスビジョン、組織構造に迫った。同氏が特に注目していたのは、現場が自律するトヨタの「カンバン方式」と徹底的に管理、マニュアル化されたマクドナルドの「組織構造」。

 「どちらも有用な"方式"だが、矛盾するのではないか?」と疑問を投げかけ、パネルディスカッションへと移った。同氏が指摘する二つの方式について、佐川グローバルロジスティクスの取締役小山彰氏と山九のグループマネージャー石渡教雄氏、内田社長が、それぞれの見解を語った。

 特に注目したのは、パレートの法則に触れた点である。ヴォコレクト音声ソリューションは、指示が音声で流れ、声で応えるため、ハンディスキャナーの使いかたを学ぶ必要がない。つまりは、作業を行うために新たに学ぶべきことがないとも言える。この場合、熟練度が平準化し、熟練者と初心者のスキルに差異が生まれないのではないか。

 しかし、内田社長は、初心者にとってはすぐに作業に取りかかれる点で優れているが、熟練者はひとつひとつを確実にこなそうとしながら、"音声"がもたらす恩恵から、さらに新たなパフォーマンスを生み出そうと考えていたと語った。先に登壇したユーザ企業が一様に「作業の精度が向上した」と語ったのはそのためかもしれない。

 そして、大矢氏が問いかけた"マクドナルド方式"と"トヨタカンバン方式"の矛盾について、「物流において、"音声"を使うことで、自律(カンバン方式)とマニュアル(マクドナルド方式)を結びつけることができるのではないか」と語った。

 一日に渡る本イベントだが、ヴォコレクト音声ソリューションはロジスティクスに新たな未来を描く、ソリューションであることが強く感じられた。同時に、"物流"の世界がITの力で進化していることも実感できた。ITとは本来"人"をサポートするための存在である。しかし、長らくITを導入するためには、専門知識を要する専門家を必要としていた。つまりは、ITのためのITを導入する本末転倒の形になっていたのだ。

 クラウドの概念が普及したことで、ITがリテラシーの高低に関わらず使用できるようになってきた。これは本来ITが持っていた、期待されていた、"魅力"が浸透したとも言えるのではないだろうか。本イベントで紹介されたヴォコレクト音声ソリューションもまた、"人をサポートする"魅力的なITソリューションである。ピッキング作業の精度や効率を向上させるとともに、新人教育にも応用できるなど、"人"の想像力から使いかたを見いだすことも可能だ。日本のロジスティクスが大きく変化するとともに、ヴォコレクトジャパンが目指す道筋は、今後の"日本企業"全体にも有益なものなのではないだろうか。

提供:ヴォコレクト・ジャパン株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2013年12月5日
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]