知られざるアプリケーションサーバ仮想化の盲点?! 最新のCosminexusが3つの課題を解消

管理ユニットによる運用管理の「一元化」

 運用フェーズで管理者が直面する課題として、仮想化では業務アプリケーションがどの物理サーバの上の、どの仮想サーバで動いているのかがよく分からないというものが多い。構成の把握に労力が必要とされてしまうのだ。

 そこでCosminexus V8.5では、管理ユニットによる業務アプリケーション単位のシンプルな運用を実施し、物理サーバ/仮想サーバ/業務アプリケーションの関係を一元的に管理する。つまり業務アプリケーション視点での一括起動・終了や更新・スケールアウトを可能にし、各サーバの配置を可視化し、業務アプリケーションの構成・定義情報も一元管理を可能にするのである。また、統合システム運用管理「JP1 Version 9」の仮想化対応と連携し、将来的には一層高度な管理を実現する予定だ。

「Full GCレス」でさらなる安定稼働へ

 最後に実行フェーズの課題。仮想化によるアプリケーションサーバ集約化の結果、扱うメモリ容量も肥大化し、ひとたびFull GC(※)が発生すると、レスポンス低下がひどくなるという問題が、管理者を悩ませてきた。

 その特効薬として期待されているのが、日立製作所が特許出願中の独自技術、Full GCレス機能である。他社が行っているようなGCのアルゴリズムを変更する手法ではなく、使用期間の長いオブジェクトは削除するタイミングを明示的に管理する明示管理ヒープ(Eヒープ)領域で別管理することでGCの対象外とする、仮想化向きの技術といえる。

 クライアントのログインからログアウトまで長時間使用されるセッション情報などはFull GCの発生につながりやすいが、Eヒープ領域に配置することでFull GCの発生頻度を極力少なくし、仮想マシンのサイズをさらに大きくすることができる。

 さらに、今回のV8.5ではセッション情報以外のオブジェクトも、アプリケーションの変更なしにEヒープに配置することができる。また、どのオブジェクトがFull GCの要因になっているかを解析するツールも提供され、Eヒープの有効活用と仮想アプリケーションサーバの更なる安定化を実現したという。Full GCレスによるメリットを図解すると、下図のようになる。

イベントで明かされるCosminexus V8.5の全貌

 このようにCosminexus V8.5は、仮想化アプリケーション基盤構築ソリューションが強化ポイントである。尾花氏は、「Cosminexusは今後、『Fast & Reliable』(スピードと信頼性)を主要メッセージに据え、確実かつ柔軟に実行できる基盤、素早いシステム構築、そしてサービスの質的向上の3点を重点戦略としてクラウド時代のアプリケーション基盤を目指していきます」と語る。

 その詳細は、2010年2月25日に開催されるイベント「Cosminexus Day(Hitachi Open Middleware World)」で明らかにされるという。特に、SIer企業の担当者にはぜひ注目してもらいたい情報収集のチャンスでもある。

Full GC(Full Garbage Collection)

Javaで構築したアプリケーションでは、業務処理で使用されるメモリの確保と使われなくなったメモリ領域の解放をJava VMが自動的に行うガーベージコレクション(GC)が実行される。当初はNew領域と呼ばれる場所を対象に小規模なGC(Copy GC)を繰り返して使用済みのオブジェクトを削除し、長時間使われるオブジェクトをOld領域に集積するが、Old領域が満杯になると一括してオブジェクトを解放する。それがFull GCと呼ばれる処理で、システムが一時的にフリーズした状態になってしまうことから、システム運用管理者が最も憂慮する現象のひとつになっている。

http://japan.zdnet.com/extra/hitachi_201002/story/0,3800102919,20406878,00.htm
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