(第1回)情報をビジネスの“力”に変える魔法の箱IBM WebSphere DataPower
100年に1度といわれる不況下の現在、激変するビジネス環境に対応できなければ市場で勝ち抜くことは難しい。そのためにはITの活用が不可欠だ。そこで今回から3回にわたり、変化に柔軟かつ迅速に対応できるESBを使用したシステム構築について紹介する。
複雑化したシステムが企業の競争力を低下させる
これまで企業は、全社的に導入されたシステムや部門ごとに最適化して構築されたシステムなどを、必要に応じて連携することでシステムの統合を行ってきた。こうした方法は、連携するシステム間のインターフェースを確立するだけなので、わりと短期間かつ低コストで実現することができる。しかし、この方法を繰り返すことで、システム間に伝達されるメッセージは少しずつ複雑な構成になってくる。
たとえば、2つのシステムの連携であれば1対1の関係だが、複数のシステムがすべて相互につながるとするとその関係は、次の公式で表すことができる。
L=N×(N-1)/2
つまり10個のシステムを統合するためには、「10×(10-1)/2=45」のインターフェースとそこに流れるメッセージを管理しなければならないことになる。つまり100個のシステムを連携すると4950個所、1000個のシステムになると49万9500個所のインターフェースを管理しなければならないことになる。
これがいわゆるインターフェースの「スパゲティ化」であり、複雑で難解なインターフェースが数多くできることで、メンテナンスの困難なシステムができあがってしまう。このようにシステムが複雑化することで、ビジネス環境が変化しても、新しい要件に迅速かつ柔軟にシステムを対応することができず、信頼性の低いシステムとなってしまう。
こうした硬直化したシステムがもたらすビジネス面への弊害としては、たとえば、過剰在庫、古い情報や誤った情報に基づく経営判断、無駄なIT関連コストの増加などを引き起こし、企業の競争力そのものを著しく低下させてしまう。
ソフトウェアとアプライアンス、2つのESB
スパゲティ化により複雑になったシステムのインターフェースの数やサイズを低減することでIT投資コストやリスクを軽減し、ビジネスの変化や新しい接続先に対して柔軟な対応を可能にするのが「ESB(エンタープライズサービスバス)」と呼ばれる技術だ。ESBを導入することで、既存システムやアプリケーションの再利用性が高まり、開発生産性が向上するほか、信頼性の高いセキュアなデータ移送が期待できる。
ESBは、サービスを統合するための柔軟な連携基盤であり、サービスリクエスターとサービスプロバイダーの間に設置することで、システム間を疎結合し、通信プロトコルやデータ記述、ロケーションなどに依存しない、透過性の高いサービスを実現することができる。
たとえば、サービスリクエスターの通信プロトコルがJavaで、サービスプロバイダーの通信プロトコルがXMLであっても、あらかじめ設定さえしておけば、ESBが自動的にメッセージを変換し、処理を実行することが可能。データの記述やロケーションの違いもESBが吸収し、透過的に処理することができる。
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)では、ESBを実装するための製品として、Webサービスの接続機能とJMSメッセージング機能を兼ね備えたソフトウェア製品である「IBM WebSphere Enterprise Service Bus(WebSphere ESB)」と、「WebSphere Message Broker」、SOAに対応したシステム連携を高い信頼性で実現するアプライアンス製品「IBM WebSphere DataPower SOA Appliance (WebSphere DataPower)」の3種類の製品を提供している。
中でも注目すべきはSOAを実現するためのアプライアンス製品としてIBMビジネスインテグレーション製品群の一部に位置づけられているWebSphere DataPowerだ。WebSphere DataPowerは、セキュリティの強化、そしてSOAの実装を強力に支援するためのさまざまな機能が搭載されている。
「ESB(日本アイ・ビー・エム)」 のバックナンバー
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