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第3回:Solaris10のあるべき姿を実現した最新アップデート機能を検証 〜より使いやすく、安定性を増したSolaris10 8/07に迫る〜

第3回:Solaris 10のあるべき姿を実現した最新アップデート機能を検証 〜より使いやすく、安定性を増したSolaris 10 8/07に迫る〜

実運用での問題点を解消した「Solaris Zones」

 今回のアップデートに伴い、実際の環境での運用において問題が指摘されていたSolaris Zones機能も拡張されたことで課題をクリアしている。Solaris Zonesは仮想化機能の一種で、1台のSolaris 10上に仮想的なSolaris 10環境のインスタンスを複数構築し、あたかも独立したSolaris 10として運用できるものだ。仮想化というとVMwareなどがイメージされるが、PCハードウェアそのものをエミュレートするVMwareと異なり、エミュレートのオーバーヘッドが少ないSolaris Zonesではパフォーマンスの低下はほとんど見られない。OS環境としてSolaris 10以外が必要な場合を除けば、Solaris Zonesはサーバの集約に非常に有効だ。

サン・マイクロシステムズ株式会社 東京ソフトウェア本部 本部長 大曽根明氏

 しかし、これまではnon-Global Zone(仮想化された子Solaris環境)を持つSolaris 10環境に対するアップデートが簡単に行えず、公式にはいったんnon-Global Zoneを削除し、アップデート後に再構築することを推奨していた。今回はこの制限がなくなり、non-Global Zoneを持つSolaris 10環境であっても問題なくLive Upgradeによるアップデートが行えるようになった。この点に関して大曽根氏は「これまでnon-Global Zone利用時のアップデートに関しては指摘が多く、改良が望まれていた部分でした。前回のSolaris 10 11/06のときにnon-Global Zoneを利用していてもアップデートを行うための作業方法を公開したのですが、さまざまな作業を事前に行ったりする必要があり、運用に大きな負担がかかるものでした。今回のSolaris 10 8/07により、特に準備をする必要なくアップデートができるようになったことで、Solaris Zones機能がより使いやすくなったと言えるでしょう」と語る。

 この点に関しては梶野氏も高く評価する。「確かにSolaris Zonesは非常に便利な機能で、サーバ運用上においてはZoneを利用することでサーバを集約したり、セキュリティ上重要なサーバを分離するなどの運用が可能になります。しかし、これまでのようにnon-Global ZoneがあるSolaris環境のアップデートに制約があると、どうしても利用にためらいが生じてしまいます。いったんZoneを削除してアップデート後に再び作成するというのは、サーバ環境の再構築に他なりません。これではZoneの導入は運用の手間が増大してしまいます。しかし、Solaris 10 8/07でこのような制約がなくなったということで、今後はZoneを利用したソリューションも積極的に提案できるようになります」

 また、Solaris Zonesに関しては、このアップデート機能だけでなく、他にも機能強化が行われている。たとえば、従来はホスト(Global Zone)と共有する必要があったネットワークインスタンスをZone独自のものを割り当てることができるようになり、Global Zoneと同じようにネットワークを扱うことができるようになったことがある。これにより、Zoneを利用する制限が緩和されている。更にDTraceの機能がnon-Global zoneからも利用できるようになっている。これにより、non-Global Zone上でのデバッギングなどが従来に比べて容易になっている。

株式会社NEC情報システムズ ITソリューション事業部 プラットフォームITグループ マネージャー 梶野晋氏

 この点について梶野氏は「DTraceは非常に強力なツールなので、Zone上で利用できるようになるのは非常にありがたいです。ただ、欲を言えば、現在のようにDスクリプトによるDTrace機能へのアクセス以外にも、APIのような形でアプリケーションからDTraceを利用できるようになれば、デバッグだけでなく、システム情報の取得がアプリケーションからできるようになるなど、積極的に活用できるようになり、アプリケーションも更に改良されていくと思います」と今後の展開に期待する。

 さらにZone管理において、既存のZoneをベースに新規Zoneをクローニングで作成することができるようになるなど、Zone作成が素早くできるようになったことがある。大曽根氏はZone機能に関して「社内で利用しているOSの大部分がSolaris 10なのですが、例えば、試験用のサーバなどを構築する場合、現在ではZone機能を利用して1つのゾーンをサーバ用に割り振るという使い方が多くなってきています。このように使う場合、素早くゾーンが作成できるようになり、より使いやすくなっているのを社内でも実感しています」と語ってくれた。

 
 

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