ヒューズ氏は、「もうひとつ重要な点として、ソフトウェアがマルチスレッドに対応し、並列処理を扱える仕組みを備えることが挙げられます」と言う。
「しかし、開発者たちと話をしてみると、開発に使用しているコンピュータやOS、コンパイラなどが充分に並列化されていないことがよく分かりました。つまり、開発者自身がマルチスレッド対応と処理の並列化の重要性をいまだに認識していないのだな、と感じたのです。これは危険なことだと思います」とヒューズ氏は語る。
「多くの開発者が、コストやノウハウなどが要因で並列化を活用できる環境にありません。そのため開発者たちは、『並列化は課題だが、求められるのはずっと先のことだ』と考えているようです。これは一種の “賭け” を行っている状態と言えます」(ヒューズ氏)
並列化を活用せず、この “賭け” に負けたらどうなるのだろう。ヒューズ氏は「ソフトウェア開発の潮流から取り残されることを意味します。当然、これは大きなダメージになるでしょう。そして現在、並列化に向かっているこの流れは大きなニーズとなりつつあります」と指摘する。
こうした流れに対し、サンはチップ(プロセッサ)、システム、OS、コンパイラ、NetBeans(※1)など、さまざまなテクノロジで並列化をサポートすることで開発者を手助けしている。特にSolarisが持っている仮想化の機能であるZoneや、システム状況を取得するDTrace、そして大容量ストレージをサポートするZFSなどの機能は特筆に値する。「これらの機能は、他のOSにないSolaris独自のアドバンテージであり、ここには大きな可能性が秘められています」とヒューズ氏はSolarisの強みを解説する。
※NetBeans:Javaプログラムの作成などを効率的に作業できる統合開発環境(IDE)。サンが手がけるオープンソースプロジェクトのひとつ
しかしオープンソースソフトウェアの開発者が利用するプラットフォームはLinuxが現時点では主流である。開発者予備軍と言える学生も、多くはLinuxを利用しているという調査結果が出ている。そこで、開発者にSolarisを使ってもらい、より活用するための試みを実践していく、それが「Project Indiana」であった。