「SolarisとLinuxは一見、似たようなイメージがあるが、細かいところに大きな違和感がある」というLinuxユーザーが持っているSolarisへのイメージこそが、Solarisの活用に踏み切れていない最も大きい理由だとヒューズ氏は説明する。
「Linuxは、厳密に言えばカーネル(OSの中核となる基本機能)だけで、ディストリビューションはそれにGNU Toolsなどを組み合わせてOSとして機能させています。UNIX System V系統であるSolarisとは、コマンドなど細かい動作の違いがユーザーは気になるようです」(ヒューズ氏)
確かにWindowsのようにまったく異質のOSであれば、操作する際も『別もの』として向き合えるだろう。しかしユーザーにとっては、見た目が似ているSolarisとLinuxであるが故に、動作が異なる点がどうしてもなじめず、慣れたLinuxを使い続けてしまう理由だ、とヒューズ氏は解説する。そこで、OpenSolaris Developers Preview(以下、Developers Preview)は、Project Indianaの成果として、Linuxユーザーにも使いやすいSolarisを目指しているという。
ヒューズ氏によると、Developers PreviewはLinuxディストリビューションと同じようなもので、コアのカーネルはSolarisだが、そこにGNU Toolsなどを導入し、Linuxと同じような環境を構築しているという。さらに、Live CDによる起動でもすべての機能を利用でき、ハードディスクへインストールすることも可能である。
さらにインストーラやパッケージマネージャ、パッチ管理などLinuxの一般ユーザーにとって使いやすい仕組みは、Solaris上でも利用できるように統合したという。
ソフトウェア(パッケージ)のインストールやアップデート、さらにパッケージの依存関係などのリポジトリ(ソースコードや仕様などの情報を保管するデータベース)の管理を行えるパッケージマネージャやパッチ、またはパッケージのアップデートなどの管理に関しても条件に合わせて選択し、インストールするかどうかの指定ができる。これらはLinuxのパッケージマネージャを参考に導入された機能だという。
もちろん、ただLinuxの機能を導入しただけでなく、Solarisと完全に統合されていることが何よりも大きな特長である。Zoneなどの仮想化機能を利用していても、その環境を考慮したパッケージやパッチのインストールができる。こうした機能によってこれまでLinuxに親しんできたユーザーも違和感なくSolarisが利用できるのだ。さらに、Developers Previewはハードディスクにインストールすると、ZFSを利用してフォーマットし、そこから起動するようになっている。ZFSはデータの圧縮機能を持ち、簡単にデータの圧縮が可能なファイルシステムのスナップショットの作成が可能だ。これによりOS環境のスナップショット、さらに応用として、アップデート後に不具合があった場合、スナップショットを利用して元の環境に戻すなどにも利用できる。