基幹業務の安定稼働を支えるCosminexus、その真の実力

安定稼働編ケーススタディ（1）

売り出し中の通販サイトで突如発生した災難

　F1層（女性20〜34歳）に特化し、ファッション・雑貨が中心のeコマースで売り出し中のA社。通販サイトを基軸に、独自SNSと連携させた会員視点のレコメンデーションと、雑誌とのコラボレーションによるユニークな商品セレクトで急速に会員数を伸ばしている。

　そんな中、ファッションリーダー的な読者モデルがA社のサイトを推奨したことによって、急速にアクセス数が増加。非会員による商品検索と新規会員登録の処理に想定以上のトランザクションが集中し、売上につながる重要な商品購入・決済リクエストが受けられない事態となってしまった。

　そこで同社はリソース不足を補うために急遽サーバを増設し、一時的なアクセスを回避するミラーリングを実施。だが、その効果もなくついにシステムがダウン。数時間にわたって検索も決済も不可能な状態が複数回連続して発生した。その後も、サイズの変更ができない、買い物カゴの中身が消失したといったトラブルが相次ぎ、利用者に不安が蔓延。SNSの会員からは掲示板に画像をアップできないなどのクレームが増えることによって、ショップの信頼性も低下しつつあり、クリスマス商戦に向けて会員の離反が懸念される状況にあった。

ビジネスに重要なリクエストを優先して顧客満足度を向上

　eコマースや各種ネット予約サービスなどは、商品・サービスの検索や閲覧処理が急増した場合、全体のアクセスが重くなり、商品購入決定後の処理にも時間がかかったり、タイムオーバーでそれまでの手続きが無効になったりするケースがある。

　A社の課題はリソース増強もさることながら、突発的なリクエスト数増大においてもCPUが占有されず、安定したシステム運用を実現するための流量制御と優先制御にあると断言。特に不特定多数を対象とするWebアプリケーションでは、サーバに押し寄せるリクエスト数をある程度制限して同時実行数を制限したり、アクセスが急増してもビジネスに重要なリクエストだけは優先して確実に処理したりするコントロールが必要となる。

　Cosminexusアプリケーションサーバを導入したA社は、流量制御と優先制御を実行することによって無駄なサーバ台数を集約するともに、アクセス全体の処理件数は減らさず、商品購入や会員サービスなどビジネスの根幹に関わる処理を優先することに成功。その結果、会員、新規来店者ともに満足度を高め、新規会員数を増加させる一方で、サイト運営の管理負担を大幅に向上させることができた。

高負荷時にも安定稼働を実現する「流量制御」と「優先制御」

　Cosminexusアプリケーションサーバは、アプリケーションの同時実行数を制限する流量制御や、優先度の高いアプリケーションの実行を保証する優先制御などでシステムの安定稼働を実現する。具体的には、優先したい業務専用のスレッドを別途用意することで、高負荷時にもシステム全体のスループットを安定して確保し、処理をスムースに移行することができる。

　業務ロジック（URL）単位にキューを設けて実行を制御できるため、重い処理と軽い処理とを分離し、CPUが重い処理に引きずられて性能ダウンすることを防ぐ。また、１つのアプリケーション内に複数業務を持つ構成でも、業務単位の制御が可能。業務処理の実行においても、実績のあるトランザクション技術を取り入れたスケジューラ機能できめ細かく制御する。

図1-2　 Cosminexusアプリケーションサーバの流量制御。業務ロジックレベル (URL) でキューを分けシステム全体のスループットを安定して確保する

※クリックで拡大画像表示