エンバカデロは合併によって新しい進化のチャンスを得た

 エンバカデロ・テクノロジーズ(以下、エンバカデロ)は1993年に設立され、北米を主な市場として活躍してきたデータベースツール・ベンダーである。そのエンバカデロがボーランド・ソフトウェアの開発部門であるCodeGearとの合併によって新たな製品展開を開始したのは2008年7月のことだ。その合併に至る経緯は以下の通りである。

 当時、ボーランドはビジネスのフォーカスを開発ツールの提供からプロジェクト管理ツールやテストツールの提供へと移し始めていた。そのために、それまでDelphiを中心として展開してきたCodeGearブランドをビジネスの核から分離する必要があった。開発技術によるビジネスは、ボーランドが目指していたビジネスとは形態が大きく異なったからだ。

藤井氏
エンバカデロ・テクノロジーズ
カントリーマネージャー
藤井 等

 一方でエンバカデロは主にデータベース製品を扱っていたが、CodeGearと同様にソフトウェア技術の専門家集団という気質を持ったベンダーであった。開発ツールとデータベースツールには密接な関わりがあるため、エンバカデロとCodGearはお互いを補完し合う技術・製品を持っていた。地域的なシェアを補完し合えるという背景も合併を後押しした。藤井氏は次のように語る。

 「エンバカデロは一時期上場していたこともありますが、現在は非上場に戻っています。ツールテクノロジというものは中長期的な視野が必要なため、投資の動向を見ながら頻繁に戦略を変えるわけにはいかないというポリシーからです。ツールベンダーというのは長いスパンで戦略を考える必要があります。その考え方にコミットできる相手としてCodeGearがいたというわけです。」(藤井氏)

エンバカデロとその製品の歩み エンバカデロとその製品の歩み
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ソフトウェア技術にこだわり続けたエンバカデロの歴史

 開発ツールというのはソフトウェア開発を楽しくするものでなくてはならない。エンバカデロにはそういった想いが脈々と受け継がれている。その象徴がDelphi(http://www.embarcadero.com/jp/products/delphi)だと藤井氏は言う。Windows向けの統合開発環境であるDelphiがリリースされたのは15年前の1995年のことである。まだテキスト環境によるプログラミングが主流だった当時、コンポーネントによるビジュアル開発手法を採用した同製品の登場は業界に大きな衝撃を与えた。

 「15年前は、開発はもっとシンプルなものでした。しかしコンピュータの環境がテキスト画面からGUIの画面に切り替わったことによって、プログラマにとって辛い時代が到来しました。GUIのための複雑なコードを大量に書く必要が生まれたからです。そこでその複雑さを回避し、開発を簡単にするためのツールが望まれました。しかし、簡単にすることでできることが限られてしまうのでは開発者は満足しません。開発の簡素化と高いカスタマイズ性を同居させ、『複雑なことができる可能性をもった簡単なツール』を追求したのがDelphiなんです」(藤井氏)

 15年経った今でもこの思想はDelphiの中に生き続けている。しかし一方で、ツールベンダーとしては提供するツールに対して常に新しい風を吹きこむ義務も負っている。開発者のニーズに応え、最新の技術やトレンドを取り込み、常に進化し続けなければならない。エンバカデロとCodeGearの統合は、開発ツールというものに対する考え方を再確認し、新しい進化を遂げるための非常に大きなチャンスとなった。

統合によってアプリケーション開発者とデータベース管理者をトータルでサポートできる体制に
統合によってアプリケーション開発者とデータベース管理者を
トータルでサポートできる体制に
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http://japan.zdnet.com/extra/embarcadero_201003/story/0,3800103913,20409850,00.htm
Delphiに込められた魂は、エンバカデロとの融合でさらに輝く
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