SOA・クラウド時代を見据えたリアルタイム連携 EAIやESBの導入前に要検討

 一方、既存DWHのパフォーマンス低下を課題としていた製薬会社では、ETLツールとして処理性能に優れていたPowerCenterを採用。MDITとの協力体制の下で、運用プロセス改善にも取り組み、約400本のプログラムを半年で構築。夜間バッチ処理を大幅に短縮するとともに、メタデータ管理によってDBの変更管理要求への迅速な対応を実現。運用管理コストの引き下げに成功した。「引き続き、MDITの提案やサポートサービスを利用し、当初想定していなかった新たなDWHの活用にも対応するなど、ITインフラをビジネス強化のために、使いこなしています」と勝山氏。

 PowerCenterの特長は、その高速性にもある。パイプライン方式によるマルチプロセッサ対応の高速エンジンを備え、CPU数に応じてスケーラブルに性能を高めるパラレル処理機能、エンタープライズグリッド機能により、システム規模の拡大やデータの急増に対してもスループットを維持・向上させられるなど、システムのスケールアップ、スケールアウトのどちらにも柔軟に対応可能。「通信業のお客様では、一日で億単位のトランザクションデータの処理や分析に、24時間フル活用されています」(勝山氏)というほどだ。この案件でも、MDITがシステムのパフォーマンスを高める構築にノウハウを惜しみなく投入した。

 最新版ではもし仮に、処理中、いずれかのサーバーがハードウェア障害でダウンしても、自動的に他のサーバーに処理が引き継がれ、再接続後に直前のコミットポイントから処理が再開される工夫も凝らされている。ミッションクリティカルな企業のシステムで導入される理由のひとつは、こうした製品自体の信頼性の高さにある。

 目下、SOA(Service Oriented Architecture)やクラウド・コンピューティングの進展を見据え、ESB(Enterprise Service Bus)やEAI(Enterprise Application Integration)、Webサービス技術を用いたプロセスのリアルタイム連携や、BPM(Business Process Management)との連携に向けた機能が強化されているという。MDITが、PowerCenterを日本語化し、国内市場にリリースしてからちょうど10年。もはやETLツールという範疇ではくくりきれない、データ統合プラットフォームへと進化を遂げている。

クレンジングなどの前処理を効率化する、豊富なビジネスロジックを用意

 前述した事例の中で、情報開示に必要な重要データの信頼性確保に手をこまねいていた企業では、メタデータ管理機能を活用することで、データのトレーサビリティを向上させることができた。さらに、情報漏洩対策などのMDITのセキュリティソリューションを組み合わせることで、内部統制環境をいっそう整備している。

 ところで実は、この『データの品質低下』は、単純なようで奥の深い課題のひとつだ。

 代表的なのは、名寄せの問題。例えば、社名で『シーネットネットワークスジャパン株式会社』と『カ)CNET Japan』が、あたかも異なる会社として、それぞれに計上される販売実績を分析しても、正しい市場動向は見えてこない。整理されていないデータをもとに販売戦略を立案すれば、間違った意思決定を引き起こしてしまう可能性がある。

 そこで、必要なのが、データの浄化(クレンジング)である。 

 「しかし、数百件程度のデータならばまだしも、数万件を超えるような規模になると、これらの前処理はもはや手作業では対応しきれません。この手間は、DWHを基盤とした経営分析システムが蓄積するデータが年々増加する中で、情報システム部門にとって、大きな負荷になっています」と勝山氏。それに対して、PowerCenterには、100を超える関数による加工処理機能などを備え、部門や会社ごとのローカル・ルールや、部分最適化されたシステムを連携する作業を一挙に自動化・効率化してくれる。

 「分析の前処理を、省力化することで浮いた時間を、ビジネスロジックやDB活用法などのより付加価値の高い業務に充当できることは、IT投資の最適化という点からも重要です」と勝山氏は述べる。

次ページ:手厚いサポートサービスで日本の商慣習にフィット>>
http://japan.zdnet.com/extra/mdit_200903/story/0,3800093892,20389790,00.htm
データ統合基盤を構築し、「データ」を「資産」へ
提供:三菱電機インフォメーションテクノロジー株式会社
[PR]企画・制作 シーネットネットワークスジャパン株式会社 営業グループ marketing@japan.cnet.com