経営システム改革の核は、業務プロセスとITシステムの改革。

――NECが自ら実践・実証する経営システム改革とは?

龍野  NECでは現在、経営システム改革の実現のために、「構造改革」、「業務プロセス改革」、「ITシステム改革」を三位一体で自ら推進しています。増大する業務パターンを減らすことなしに、いくらIT改革に取り組んでも、十分な成果は上がりません。つまり業務プロセス改革とITシステム改革が一体となって、初めて経営システム改革が実現できるのです。

 今回NEC自らが実践している経営システム改革の目的は、国内外の関係各社の業務プロセスを標準化し、グループ全体で共通活用できる新たな事業基盤を構築することです。最大の狙いは、業務プロセスの標準化や基幹システムの統合による大幅なTCO削減です。同時にグローバルな競争力強化やグループ全体におけるリアルタイムな連結経営管理の実現も、目指しています。今回の業務プロセスとITシステムの改革は、情報システム部門まかせではなく、経営トップのリーダーシップによって推進していることも注目すべき点といえます。

――経営システム改革の柱のひとつである、業務プロセス改革とは?

龍野  NECグループを横断した業務プロセスのシンプル化は、2008年7月からスタートしました。事業状況のすばやい可視化や内部統制強化を図るには、グループ企業全体に存在する業務パターンを、どれだけ標準化・共通化できるかがポイントでした。NECでは、グループ企業の経営基盤である「販売・購買・経理」という3つの機能領域における業務プロセスの標準化と、「SI・装置・量販・デバイス」の4つの主要事業領域における事業活動の全体最適化を行い、これによって国内外のグループ企業共通の統一基準ともいえる業務プロセスを構築しました。

――業務プロセス改革におけるポイントは?

龍野  ひとつはオーナー制度の導入です。業務プロセス標準化の責任者として「プロセスオーナー」を、またグループ全体の業務コード(製品コード・取引先コードなど)共通化の責任者として「コードオーナー」を新たに配置しました。各オーナーは、今回の業務プロセス改革責任者としてだけでなく、現状把握や改善など継続的なBPM(ビジネスプロセスマネジメント)においても個別最適に陥らないよう、ガバナンスを効かせる役割を担っていきます。

 もうひとつの特長は、デファクトスタンダードといえるツールの採用です。基幹業務の標準システムとしては、世界中で数多くの導入実績を誇るSAP社のERPシステムやIDS Scheer社のBPMツールを採用するなど、グローバル標準を強く意識しています。

――業務プロセス改革で、期待される成果とは?

龍野  業務プロセス改革により、さまざまな成果が期待されています。まずひとつは業務パターン数の大幅な削減です。たとえば販売領域では、これまで100以上あった業務パターンを、22の基本パターンとその組み合わせへと整理しました。似通った業務パターンをシンプル化したおかげで、エリア、製品、得意先など、さまざまな分析指標からグループ各社の事業状況がすばやく可視化できるようになり、管理会計や意思決定のスピードアップを実現します。さらに業務プロセスの標準化により内部統制上のコントロールポイント(重要管理点)も共通化されるため、監査効率が上がり、内部統制強化にも大きく貢献します。NECではこの業務プロセス改革によって、グループ全体で関連間接部門費約20%削減を見込んでいます。

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http://japan.zdnet.com/extra/nec_200909/story/0,3800100227,20398444,00.htm
クラウド実証リポート ザ・プロに聞く。NEC 龍野 康次郎
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第二弾:ITシステム改革編

経営システム改革の一環として、ITシステム改革を推進しているNEC。その注目ポイントは、グループ各社の基幹システムをデータセンターに統合したエンタープライズクラウド活用。いま話題のクラウドを自ら大規模システムとして活用するNECの取り組みをITシステム改革の責任者のひとりである富山 卓二に聞いた。

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