社員が倒れてしまったら、どのようにしてその穴を埋めるか

 前回は、パンデミックの発生により出社できなくなった場合に備えた対策を紹介した。ただそこには、仕事をする社員自体は健康である、という前提があった。では、社員が新型インフルエンザに倒れてしまった場合は、どうすればいいのだろうか。当然、誰かがその社員の仕事を代行しなければならない。誰が誰の代行者を務めるのか。倒れた本人の頭の中には、「彼(彼女)にやってもらおう」という目算がたつだろうが、本来ならば、こうした代行者の体系はあらかじめ組織として明文化しておき、情報システムでも即応できるようにしておきたい。

適切な代行者に適切な権限を与えること

 では、代行者は迅速に決まったとしよう。その人物はある権限を持って仕事を行うことになるが、具体的にどのような権限を持つことになるのか。これもあらかじめ整理し、説明可能にしておく必要がある。そうでなければ、任された本人や周りが混乱してしまう。他人の仕事というのは、案外見ているようで見ておらず、知っているようで知らないものだ。加えて、システム側にも備えが必要だ。代行者をうまくチェックできる体制がないと、不用意にセキュリティレベルを落としたり、コンプライアンス違反を招いたりすることになってしまう。脅威につけこまれるスキが生まれるとしたら、まさにこういうタイミングである。

 演劇では、主役が倒れた場合の代役を必ず決めておき、セリフや動きを覚えさせて万が一のときに備えるが、中断を許されない営みという意味においてはビジネスも同じこと。「非常時であっても秩序は乱さない」という高いモラルで組織形成を行うことが重要だ。

いくつかの権限をセットにして運用する「ロール管理」という考え方

 ITの世界には、権限管理を行う上での概念として「ロール」というものがある。ロールとは、一言でいえばいくつかの権限がセットになったものだ。例えば営業という職務に与えられる権限として考えられるものに、顧客への納入価格決定権、在庫の引き当て権、交際費や交通費の利用権などがある。これらをシステム利用上の具体的な権限とひもづけてひとまとめにし、営業担当者ロールとしてグループ管理をする。そうすれば、パンデミックの際も、するべきことは代行者に指名された人物に対してしかるべきロールを付与するだけでよい。このように、企業に存在する権限セットの数だけ用意して包括的に管理していこうというのが、エンタープライズ・ロールという考え方だ。ただ、実際に企業規模でロールを定義していくのは大変な作業になる。ロールというのは、部門や役職の単位で単純にまとめられるものではなく、あらゆるケースを洗い出した上で体系化しなければならないからだ。

「PandemicSolution(Sun Microsystems)」 のバックナンバー

http://japan.zdnet.com/extra/sun_pandemic_200906/story/0,3800098696,20395545,00.htm
誰かが倒れても、適切な代行者に適切な権限を迅速に渡せる環境を構築しよう
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