また、サーバのリプレースに伴い、OSをSolaris 10に変更したことも運用コスト低減に寄与している部分があると言う。
「これまでは、運用コスト低減のため、OSにはLinuxのFedoraを採用していました。このようなコミュニティーベースのディストリビューションの場合、トラブルの際の解決方法などをさまざまなコミュニティーから入手する必要があり、障害発生時などの対応には時間がかかりました。また、パフォーマンスを確保するためのチューニングに関しても、同様でした」と根立氏はこれまでの運用状況について説明する。
一方、「サンのハードウェアサポートの品質の高さに関しては言うまでもありません。加えて細かいチューニングのノウハウなどもサンさんには蓄積されていますので、適切なアドバイスをいただくことができました」とサポート状況および運用負荷の軽減効果を評価する。
チューニングのノウハウに関しては、河原氏は「シーエー・モバイルさんが利用しているApacheは、CPUリソースを多く割り当ててもパフォーマンスの向上が小さいことが分かりました。そこでT1000サーバ上ではSolaris Containerを利用して複数の仮想サーバを構築し、仮想環境に割り当てるCPUリソースを制限しました。それによりApacheの性能を十分に引き出しつつも、処理できるスレッドの数を増加させることができました」と語る。
また、フロントエンドのウェブサーバだけでなく、データベースサーバに関してもT2000サーバへのリプレースは効果があったという。「バックエンドのデータベースとしてMySQLを利用していますが、MySQLはCPUの処理できるリソース以上のコネクションを処理しようとするとエラーが出て、それ以上の処理ができなくなってしまいます。T2000サーバへのリプレースにより、従来の2倍以上のコネクションがひとつのサーバで処理可能になりました。その結果、サーバの集約効果を発揮できました」と根立氏は語る。
この点については堀口氏も、「現時点では、アプリケーションがマルチスレッドに対応しきれていないと考えています。スループット・コンピューティングを実現するためには、仮想化テクノロジの利用が不可欠だと考えています。Solaris 10のSolaris Containerでは、それぞれの仮想環境へ割り当てるリソースの上限を設定できるため、各環境の性能を確保しつつ、CPUリソースの有効な配分が可能になります」とUltraSPARC T1の性能を最大限に活用するには、Solaris 10とSolaris Containerの活用が有効であると話す。