第6回:OpenSolaris Developers PreviewにみるSolarisの将来像
〜サン フェローが語るロードマップ〜
10月31日、サン・マイクロシステムズ(以下、サン)はLive CDの形で配布されるOpenSolarisディストリビューション「OpenSolaris Developers Preview」をリリースした。これは、Solarisと他のオープンソースソフトウェアの融合を推進するProject Indianaの成果物であり、今後のSolarisおよびOpenSolarisのひとつの方向性を示すものとして注目されている。このOpenSolaris Developers Previewに関して、サンのVP(Vice President)であり、サン フェローでSolarisのチーフテクノロジストをつとめるジェームス P. ヒューズ氏にその狙いと将来について話を聞いた。
パワフルになったコンピュータをどのように使うかが課題
サン・マイクロシステムズ, インク
サン フェロー, VP
ソラリス チーフ テクノロジスト
ジェームス P. ヒューズ 氏
2007年11月6日から8日にかけて、サン・マイクロシステムズが主催する世界規模のデベロッパー会議「Sun Tech Days 2007 in Tokyo」が東京都内で開催された。日本での開催は実に4年ぶりであり、今回はSolarisの第一人者であるジェームス P. ヒューズ氏も来日したことで会場を沸かせた。本連載の取材班はヒューズ氏に単独インタビューし、コンピューティングやOSの役割の未来、そしてSolarisの今後の方向性とビジョンについて伺った。
ヒューズ氏がまず取り上げたのは、現在のコンピュータの性能の向上についての俯瞰と分析だ。
「周知の通り、現在のコンピュータの能力は非常にパワフルです。携帯電話のような小型機器でさえ、少し前のコンピュータ並みの処理が可能になってきました。従来、多数のコンピュータが必要だったジョブを集約し、少ない台数でまかなうことができるようになってきています」とヒューズ氏は語る。
だがそのために生じた問題もある。処理の集約による、1台のコンピュータが処理すべきスレッド(ソフトウェアの実行単位)の増加だ。大量スレッドの処理を支えるのが、基盤となるOSのスレッド処理性能である。つまり、機器のパフォーマンスの向上と共にOSの能力も強化されなければ意味がない。Solarisが有するスレッド処理能力はこれまでの連載でも紹介した通りだ。
SMPの現在
64スレッドを処理し、150k tpmのパフォーマンスを出すためには、1997年当時ではE10Kの導入が必要であったが、現在はUltraSPARC T2がある。両者を比較すると、「サイズ」はフルラックから1U(30分の1)に、消費電力はシステムのピーク時に9620ワットだったものが410ワット(24分の1)に、重量は672kgから16kg(40分1)になった。