これまでの連載で見てきたように、Solaris 10の各機能はビジネスシーンにおいて高い優位性を持っている。高付加価値のOSとしての認知と普及を目的としているこのコミュニティの発足について、どのような経緯があったのだろうか。
SCB主幹事企業である、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の藤岡氏は「当コミュニティの発足に関しては、2007年の5〜6月頃に、サンさんからお話しを頂いたのがきっかけでした」と振り返る。
「ちょうどその頃アメリカで、IBMさんがSolaris 10のOEMを行うという話があり、私たちの調査でもx86プラットフォーム上でSolaris 10の利用数が増加している傾向が見られました。例えば一部の金融系システムではSPARC SolarisからLinuxに移行したシステムを、今度はx86上のSolaris 10に移行するという例があったと聞いています。これに対し、日本国内でのSolaris 10が利用されているケースはまだ少ないかなと感じておりました。この理由について、新日鉄ソリューションズさんや電通国際情報サービスさんとお話ししたところ、外部への情報のアウトプットが不足しているのではないかと考えました」(藤岡氏)
さらに、「利用ユーザーがまだまだ少なくアプリケーション開発のための情報も多くないため、x86上のSolaris 10対応のビジネスアプリケーション増加については発展途上だと言えるでしょう。その結果、新規利用を検討しているお客様が導入を躊躇しているのではないかと考えました。このような現状を打破するためには何かアクションを起こさなければいけない。そこで、SIerやISVが団結してSolaris on x86の利点や最新の情報を外部へアウトプットすることで、利用促進を図る事ができればと思い、発足しました」と新日鉄ソリューションズ株式会社の大城氏は話を継ぐ。
「私のメイン業務はコンサルタントですので、お客様の要望を踏まえた提案を行っていますが、x86プラットフォームのSolaris 10はお客様への認知度はまだ低い現状があり、提案を行う際に実績の点で不利になることがあります。そういった点の解決にもなればと思います」と、株式会社電通国際情報サービスの古渡氏も補足する。
こうして、SIerやISVが共同し、Solaris on x86のソリューションの紹介や、ソフトウェア開発のためのノウハウを共有するなどしてSolaris on x86の知名度の向上とビジネス環境の構築を行うコミュニティを立ち上げることになったのだという。