“適材適所”なシン・クライアントを選ぶ--ユーザーに自由をもたらす「セキュアクライアントソリューション」:日立製作所
日立の7万ユーザーが生み出した「統合型」
日立のシン・クライアント市場への参入はセンセーショナルだった。2005年1月3日の経済紙一面トップに「日立、パソコン利用全廃」という文字が躍った。同年の4月に個人情報保護法が施行されることが決まっており、ノートPCを社外に持ち出すことを禁止する企業が続出していたタイミングで、日立のこの“英断”は大いに注目されるものだった。
情報漏えい対策として多くの企業がとった「ノートPCを持ち出さない」という規制は、特に営業マンの効率を悪化させるなどのデメリットも引き起こしていた。それに対し日立がとったのは、実は単なる「パソコン利用全廃」ではなく、画面転送型のシン・クライアントシステムの導入だった。
日立製作所
プラットフォームソリューション事業部
セキュアユビキタスソリューションセンタ
センタ長
岡田 純氏
なりすましを防止する本人認証デバイスを社員が持つことで、ハードディスクを持たないセキュリティPCから社内システムのアプリケーションやデータを利用できるというシステムを構築したのだ。PCの機能は利用できるが、その情報が外部に流出することはないのである。これが「パソコン利用全廃」の記事の真意であった。この情報漏えい防止を主眼とするシン・クライアントシステムは、同社の情報系事業部門を対象としたものだった。
しかし日立はそれ以前にも、シン・クライアントに取り組んでいた。交通運行管理など制御系システムを設計・開発・製造する大みか事業所(茨城県)では、1999年からTCO削減とセキュリティ向上を目的にCitrix XenAppTM(当時はMetaFrame)を核としたターミナルサービス方式のシン・クライアントシステムを導入していた。これについては、岡田氏が次のように語っている。
「大みかの事業所には3000人の従業員がおりますので、PCを配布するにしても一度にはできません。どうしても世代のまたがったPCが混在するということになります。古いPCと新しいPCでは使い方も性能も違ってきますので、運用管理が非常に面倒でした。そのため、TCOが膨れ上がるということで、今でいうセンター型に当たるソリューションをMetaFrameの時代から導入していました。これは、TCO削減とセキュリティ向上という2つの目的を持ったものでした」
こうして、日立の社内には部門ごとに異なるシン・クライアントシステムが“熟成”され、2つのシン・クライアントシステムが、社内で統合されていくことになる。大みかの事業所では、当初TCO削減とセキュリティ向上を目的にCitrix XenAppTMによるターミナルサービス方式を展開していたが、使えるアプリケーションに制限があることから、開発部門からさまざまなアプリケーションを使える、ブレードPC方式を使いたいというニーズが出てくるようになる。
岡田氏はセミナーの中で「日立グループ全体の利用者数は7万人に達していますが、それぞれの環境、エンドユーザーとシステム管理者、また経営の視点から、それぞれに最適なクライアント環境が求められているのです」と語っている。
シン・クライアントと一口にいっても、企業の中の業務によって多様な環境を使い分けることが必要になっているということを日立自身が体験していた。それが、今回の統合型へ結びついたということになる。
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