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第5回:低消費電力と高負荷環境での耐久性が導入の決め手〜UltraSPARC T1、T2プロセッサに見るCPUの進むべき未来〜

第5回:低消費電力と高負荷環境での耐久性が導入の決め手
〜UltraSPARC T1、T2プロセッサに見るCPUの進むべき未来〜

サン・マイクロシステムズ(以下、サン)のサーバ製品群のうち、非常に特徴的なモデルと言えば、UltraSPARC T1、T2プロセッサを搭載しているモデルが挙げられるだろう。これらのプロセッサはサンの提唱する「スループット・コンピューティング」を実現するため、CMT(Chip Multithreading Technology)を突き詰めたプロセッサだ。
現在のマルチコアCPUの先鞭であるCMTを現実のものとしたこのプロセッサのメリットとは何か、同社 マーケティング統括本部 プロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 システムズ・マーケティング・グループ 専任部長の堀口健氏と、UltraSPARC T1を搭載しているSun SPARC Enterprise T1000、T2000サーバを導入した株式会社シーエー・モバイル(以下、シーエー・モバイル)のシステムグループ スペシャリストの根立宗一郎氏、そして同社のシステム構築に携わったサンのシステム技術統括本部 第1システム技術本部 システム エンジニアの河原一哉氏に話を伺った。
 
低消費電力とマルチスレッド・アプリケーションの性能を
両立するUltraSPARC T1、T2プロセッサ
株式会社 シーエー・モバイル システムグループ スペシャリスト 根立宗一郎 氏 株式会社 シーエー・モバイル
システムグループ
スペシャリスト
根立宗一郎 氏

 まず、UltraSPARC T1、T2プロセッサはどのような特徴を持っているのだろうか。最も大きな特徴は、4スレッドが実行可能なコア(演算ユニット)を1チップ上に8個搭載していることだ。これにより、ひとつのチップで最大32スレッドを処理することが可能となっている。

 このためUltraSPARC T1、T2プロセッサは、ひとつのスレッドで複雑な計算や大量のデータを扱う用途よりも、ウェブサーバのフロントエンドなどに適した、大量のスレッド処理に強いアーキテクチャとなっている。また、消費電力が抑えられている点も大きな特徴で、32スレッドが動作した状態でも白熱電球程度の電力消費(73ワット)でしかない。つまり、電気料金というランニングコストの削減、ひいては地球環境への貢献でも役立つのである。

 実際にシーエー・モバイルの根立氏も導入の経緯について、「以前はインテルのXeonプロセッサ搭載のサーバを利用していました。私たちは、運用コストを抑えるため、標準的なウェブサーバの環境を構築し、サーバの導入時にはイメージコピーによるインストールを行うことで作業を軽減していました。しかし、使用していたモデルが製造中止になり、新モデルではハードウェア構成が変わったため、従来の標準環境イメージをそのままでは利用できなくなりました。その結果、新しい環境を構築する必要が出てきたのですが、200台規模で運用する私たちのシステムではコストに占める電気料金の比率が非常に高くなってきていたのです」と導入検討時に抱えていた問題を語る。

 シーエー・モバイルといえば、モバイルユーザーを対象とするプロモーションやマーケティング支援といった、モバイルソリューションの大手。女性向けニュースサイト「Newscafe」や遊べるSNS「ixen(イクセン)」、総合ショッピングサイト「ONE☆FESTA」をはじめとした携帯向け広告事業・コンテンツ事業・コマース事業を各キャリアの公式メニューとして提供するなど、多数のユーザーが利用するサービスを幅広く提供している。このため同社には、大量のアクセスを処理するWebサーバや、それを支えるためのバックボーンのデータベースサーバなど、多くのトランザクションを処理するサーバが欠かせない。これらが今回の検討へ至る背景でもある。

 根立氏は続けて、「これらの問題解決のため、システムの更新を行いました。その際、既存サーバの後継機だったAMD Opteronプロセッサ搭載のIAサーバや、UltraSPARC T1を搭載したSun SPARC Enterprise T1000サーバ(以下、T1000サーバ)などを比較検討しました。その結果は、従来サーバと比べてT1000サーバの消費電力は4分の3という低消費電力であることが分かりました。また、パフォーマンスに関しても、T1000サーバには高負荷時のレスポンスやスループットの低下がなく、トータルでのパフォーマンスは従来機の2倍の能力を持っているという結果が出ました。これらの要因がT1000サーバを導入することの決定打となりました」と話す。

 システム導入の際に構築を担当した河原氏も「低負荷時の個々のスレッドのレスポンスだけを見れば、IAサーバのほうが良かったのも事実ですが、シーエー・モバイルさんが展開しているモバイル向けサービスの場合、多少レスポンスが良くてもデータトラフィックとの兼ね合いで体感速度に差はありません。逆に負荷が高くなった場合、IAサーバでは多数のトラフィックに対応できなくなります。高負荷時の処理の遅延はユーザーにサービスの遅延を感じさせますが、T1000サーバではIAサーバの倍以上の処理に問題なく対応できます」とT1000サーバの高負荷時でのスループットを評価する。

 このように従来機からT1000サーバにリプレースした結果、半分のサーバ台数で同じパフォーマンスが実現でき、データセンター内でのスペースの節約と、消費電力の低下による運用コストの軽減が可能になったのである。

 
 
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