全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略
10〜20年先を見据え、内外の環境変化に対応できるフレキシビリティを備えたデータセンターとして伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)がオープンしたのが環境配慮型次世代データセンター「目白坂データセンター」だ。同データセンター開発の背景にあったのは、ビジネス側のニーズの多様化・高度化、ICTにおける技術革新、さらに省資源やCO2排出量削減を迫るエコロジー・クライシスだ。これらの複雑な要件に最適解を与える目白坂データセンターがどのような設計思想のもと建てられ、そしてどのような特長を持っているのかについて、今回は迫ってみよう。
データセンターを含めたITリソース全要素での全体最適化
今から20年前、いや10年前でさえ、今日のデータセンターの姿を正確に予想できた人がいただろうか。1987年、横浜にコンピュータセンターを開設して以来、長年にわたってデータセンター事業を手がけてきたCTC。インターネットの急速なブロードバンド化、ムーアの法則に代表される極めて早い機器の高性能化、仮想化などの技術革新が次々に起こったIT環境の変化は、誰にも想像できないものであった。これはCTCにとっても、まさしく予測できない変革の連続だったのである。
ざっとこの20年の間におけるハードウェアの変化だけを取り上げてみてもめまぐるしい。メインフレームによる集中処理から、UNIXサーバを中心とするクライアント/サーバ環境による分散処理へ、そしてWindowsやLinuxが稼働するPCサーバやブレードサーバ、多彩なクライアント・ツールの登場。取り扱うデータの量は増大し、電力消費も果てしなく上昇するかのように思われた。
今日主流のデータセンターや企業のサーバルームは、1980年代に登場したUNIXワークステーションを前提に設計されており、ブレードサーバなどの高集積化されたサーバが消費する電力や、そのサーバの排熱に対する冷却能力までは考慮されていない。20〜30年前である当時にすれば、それは無理からぬことだ。
破綻する前に手を打つそれも可能な限りの柔軟性を残して
データセンター事業グループ
事業開発部長
唐木 眞氏
しかし、これからデータセンターを設計するにあたっては、今後10年、20年先のことを考えないわけにはいかない。単純に電源設備や空調設備を増強し続けるシナリオはもはや破綻している。環境負荷の増大やシステムの信頼性の低下といった“副作用”が及ぼす、負のフィードバックにデータセンター自体が耐えられなくなるためだ。
本連載の第1回に登場いただいたCTCの唐木氏も、「この問題を解決する道は、データセンターを含めたITリソース全要素での省電力、発熱量の削減、利用効率の向上を目指す全体最適化にある」と断言する。ITのユーザー企業も、ベンダーも、こうした全体最適化に向けて、手がつけられるところから始めていかなければならない。それだけ切迫した状況なのである。(1997年の京都議定書や2007年のドイツ・ハイリゲンダムサミット、今年の北海道洞爺湖サミットなどで提示されたCO2の削減目標については、ここで繰り返すまでもないだろう)
データセンター事業グループ
事業開発部
加藤 美穂氏
しかし現状は、CPUメーカー、サーバメーカー、周辺機器メーカー、SIer、データセンター事業者といった其々の「部分最適化」に留まっているのが実態だ。(本連載の第1回参照)
各事業者の足並みが揃わない現況ではグリーンITは実現しえない。すなわちベンダーが個々に自社の守備範囲をグリーン化するのではなく、柔軟で業界横断的な連携が大切になのである。
CTCはデータセンター事業者でありながら、IT機器ベンダー、SIer、サービスプロバイダという複数の顔を持ついわば「IT総合商社」であり、その特性を活かしてグリーンITを包括的にリードしてきた。データセンターのエネルギー高効率化だけでなく、サーバやプロセッサー、周辺機器のメーカーとも連携しながら全体最適化を目指している。すなわち、商社であるCTCだからこそ、前述の「業界横断的」な取り組みが可能なのである。
それを具現化したのが、2008年10月に竣工した、環境配慮型の「目白坂データセンター」である。環境対応に重点を置く開発コンセプトは、2006年の設計段階ですでに織り込まれていた。
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- 【第1回】
- 全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略
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