全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社（以下、CTC）の「TechnoCUVIC」は、VMwareの仮想化技術を駆使して統合されたサーバ上で提供されている、共有ホスティングサービスだ。戦略的にグリーンITを推し進めているCTCは、環境に配慮したデータセンターのあるべき姿を提示し続けてきた。グリーンIT連載第5回となる今回は、これまでの内容を総括し、CTCが提唱するグリーンIT実現へのアプローチの整理を行う。そして、グリーンITの実現に対し、ポイントソリューションではなくトータルに対処できるCTCの強みについて検証する。

グリーンIT実現のための3つのアプローチ

　従来のITシステムの検討段階では、システムの信頼性、コスト、運用管理性といった３つが大きな選定ポイントであった。ところが最近では地球温暖化問題の高まりに合わせ、これらに加え、グリーンITへの要件、つまり電力消費や冷却効率の問題が検討要素となってきている。

　これは、ITシステムが備えるべき基本要件に「グリーン性能」が新たに加わり、それを考慮しながらITインフラを含めたシステム全体を最適化することであり、それこそがグリーンITの実現の近道となるのだ。このグリーンIT実現のために、CTCでは3つの切り口からのアプローチがあると考えている。その3つとは、「ITシステムの最適化」「ファシリティ環境の改善」「グリーンなデータセンターの活用」だ。これら3つのアプローチは、すべてを同時に実施しなければならないというものではない。グリーンITを実現したい企業の状況に応じ、どこから始めてもよいのだ。

グリーンITに取り組むための3つの切り口

ITシステムの最適化を進める方法

　ITシステムの最適化を進める方法としては、システムの統合、省電力機器の導入、機材運用の改善といった要素をあげることができる。その1つとして、たとえば連載の第3回で紹介した省エネサーバ、Rackableの活用という方法があるだろう。さらに、共通のITインフラ化を実現し効率化を行うSOI(Service Oriented Infrastructure)という、CTC独自の「次世代の共通ITインフラ」実現のアプローチもある。

　また、ファシリティ環境の改善では、エアーフロー、空調、電源、ラックなどの最適化を行うことになる。これらの最適化を行う際には設備側からの観点だけでなく、ITシステム構築の観点も合わせて対処する必要がある。ITを考慮したファシリティマネージメントについては、CTCではITFM(IT Facility Management)というアプローチでサービスを提供している。たんに、レイアウトや空調、電源といったファシリティ要素を設計し最適に構築するだけでなく、環境の測定から運用後の継続的な制御に至までを最適化する総合的なサービスとして提供できるのだ。

　グリーンなデータセンターの活用においては、グリーンITへの先駆的な取り組みで知られる目白坂データセンターなどを活用することで、すでに最適化されたデータセンターを利用する、あるいは最適化されたITインフラをアウトソースのサービスとして受け取りグリーンITを実現するという2つのアプローチをとることができる。後者では、連載の第2回で紹介した仮想化技術を駆使したホスティングサービス「TechnoCUVIC」などのサービスを活用する方法がある。