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全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略

 

強固な地盤という優れた地理条件

 東京都文京区、山の手線内にある地上5階・地下2階、延べ床面積5800平方メートルの一棟建データセンター専用ビル。CTCがこの地を選んだ主な理由は次の通りである。

 まずはアクセス。最寄り駅は、東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」。電車を使えば、大手町から14分、新宿から17分、池袋から6分で現地に到着する。利用者のみならず都心に集中している保守事業者による迅速な対応が可能だ。

 安全性の面からも、この土地は注目されている。このエリアは、武蔵野台地と呼ばれる台地面(武蔵野礫層)にあり、地盤が極めて良好。また、海沿い・川沿いから離れた台地のため、塩害や水害に非常に強く、東京都都市整備局による地域危険度測定調査で最高のAAAの評価を取得した地区にある。

※地域危険度測定による「危険度特性評価」は建物倒壊危険度、火災危険度、避難危険度に基づく8段階評価。AAAはそのいずれの危険度も低いことを示す。

目白坂データセンターの立地条件 目白坂データセンターの立地条件

 そして、建物のファシリティは堅牢性を重視。阪神淡路大震災級(震度7程度)にも耐えうる耐震性能を誇る。フリーアクセスには二次元床免震を標準装備。また、冗長構成による信頼性に秀でた電気、空調、通信設備を有している。

 システム面における安全性にも隙がない。生体認証に3D顔認証を採用し、実効性の高い共連れ防止対策が導入されている。このような安全・安心のインフラに加えて、環境配慮型の設計がなされている。次にその環境対応面についてご紹介しよう。

予想PUEは業界トップクラスの「1.46」
直流電源設備の採用など、各種施策が奏功

 データセンターにおける電力効率を測定する指標として、昨今取り上げられるようになったのが、PUE(Power Usage Effectiveness:電力使用効率)である。データセンター全体のベンチマーキングや、稼働効率の改善時期の特定、データセンター事業者が設計・運用プロセスを継続的に改善しているかを確かめるための指標であり、データセンターとコンピューティングのエネルギー効率化を促進する団体、「グリーン・グリッド(The Green Grid)」によって提唱されている。

 PUEの値を算出するには、「データセンター設備全体の消費電力」を、その中で使用する「IT機器の消費電力」で割ればよい。たとえば、設備全体の消費電力を「100」として、IT機器の消費電力を「50」、冷却・空調設備の消費電力を「50」とすると、その値は100÷50=2となる。

 連載第1回でも指摘したように、データセンターで使用される電力の多くが、設置されたサーバやストレージのIT機器による消費、というのは誤解だ。IT機器などで発生した排熱を冷却するための空調設備や電源変換時ロスに、設備全体にかかる“約半分”の電力を消費しており、仮に照明などその他の消費電力がゼロだったとしてもこの場合PUEは2となる。

 現在アメリカで稼動している多くのデータセンターのPUEは2.5以上だという。アメリカの環境保護庁(EPA)は、2011年までにエンタープライズ規模のデータセンターのPUEを1.45とする目標を掲げており(「State-of-the-Art」シナリオ)、これは今後、主要な目標値となるだろう。しかし目白坂データセンターの予想PUEは、CTCによる設計時のシミュレーションで1.46。EPAの目指すPUE値をほぼ3年前倒しで実現する計算だ。

 そのような高い電力効率を実現できた背景には、様々な施策がある。

1)高効率機器の採用。
業界トップランナーの高効率空調機器を採用しインバーターによるきめ細かな空調制御が行われている。ラック単位の温度管理も可能だ。
季節に応じて外気冷房も利用する。
空調室外機にも環境対策の工夫がなされ、外気を有効利用できる配置を取るほか、排熱を水噴霧により即時に冷却出来る仕組みを用意した。

2)空気搬送動力の抑制。
高い階高(標準5500mm)、充分なフリーアクセスを用意し、床下深さ(700mm)を確保している。

3)排熱遮断カーテン
サーバ排熱と冷却冷気の混合ロスを最小限にするため、難熱カーテンで熱気と冷気を分ける設計がなされている。
最小限のコストで混合ロスを抑える運用上の工夫の一例。

4)直流電源設備の採用。
高効率/低消費電力を図れる直流(DC)電源の供給設備および、交流(AC)電源の双方に対応している。

 直流電源はこれまで、通信キャリアの電話交換機などで使われており、電話会社の局舎も直流電源設備を持っている。直流のほうが交流より、エネルギー効率が高く、システムはシンプルになる。つまり、故障しにくく、省スペース化やコスト削減にも効いてくる。通信事業者が直流電源を採用する理由はすなわち、「通信」を、止めることのできないライフラインと位置づけているためだ。

 目白坂データセンターにおける直流電源設備の標準装備も、データセンターが企業経営を支えるインフラであるという認識がベースにある。CTCでは、直流電源方式を採用する省電力サーバメーカーとして知られる、米国のRackableSystems社とすでに業務を提携していて、目白坂データセンターにおける直流サーバの受入れ環境を整えるとともに、今後、潜在的ニーズの高かった直流サーバ製品をユーザーに提供していく方針だ。(詳細は本連載の第3回を参照

 しかし、こうした先進的な特長をもったデータセンターを設計するには、未来を予測し、どのような情勢の変化が訪れても対応できる柔軟さを予め持たせておかなければならない。「目白坂データセンター」は、どのように設計されたのだろうか。

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ホワイトペーパー

連載バックナンバー
【第1回】
全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略
【第2回】
<グリーンなホスティングサービス>
〜仮想化技術がグリーンITにもたらすもの〜
【第3回】
「世界で最もEcologicalなサーバメーカーの挑戦」
〜RackableとCTCの地球にやさしい関係〜
【第4回】
「目白坂データセンター」にみる信頼性とグリーンの調和
〜運用ノウハウと創意工夫で実現した"PUE1.46"〜
【第5回】
「カスタムメードのグリーンIT」のススメ
〜グリーンIT実現のための3つのアプローチ〜
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