野田陽介の戦略
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投資会社ジャフコの厳秘情報はどのように守られているか?
旧来のファイアウォールでは防ぎきれない攻撃
ジャフコでは、USBメモリなどの外付けストレージは原則読み取りのみ。加えてメモリに書き込みの際は全て暗号化しています。PCへのソフトインストールおよびウェブメールのアクセスも原則禁止です。また、社内から社外向けメールの添付ファイルに関しては、全て自動で暗号化を実施しています。厳秘情報を扱う頻度が高いため、情報漏洩には適切な対策を講じています。
一方で上記の対策には副作用もあります。暗号化したメモリの復号化ソフトの入手が必要であったり、暗号化ファイルをメールで送信した際、受信先は暗号化ファイルの解凍作業が必要になります。セキュリティを強化すればするほど新たな作業が発生しますので、メリットとデメリットを熟考した上での対策導入が必要でしょう。
他方、ネットワーク経由でのセキュリティ対策に目を向けて見ると、どの企業でも個々のネットワーク(LAN)と外部の間にはファイアウォールが設置されており、本来であれば本機器が“防火壁“となり内部のセキュリティを確保するのが一般的な手法です。しかし、現ファイアウォールがベースにしているポート番号やプロトコルによる制御では、昨今の急速に進化していくアプリケーションやその脅威に対して、もはや対応できない状況にあります。
「次世代ファイアウォール」とはなにか?
これらの変化に対して、各企業では様々な“補完する製品”を導入しセキュリティ確保に対策を講じてきました。しかし、最新の動向では前述のような対策を打つのではなく、ファイアウォールそのものを見直す流れにあります。
たとえば10月12日には、ガートナーより、現ファイアウォールの進化の必要性を唱え、「次世代ファイアウォール」という製品を世界で初めて定義するレポートが発表されました。次世代では従来のファイアウォールがカバーしてきた“外部”からの防御だけでなく、アプリケーションの可視化により“内部”からの情報流出対策も要件として織り込まれています。
ジャフコが投資をしているパロアルトネットワークス(米国カリフォルニア州)は、この次世代ファイアウォールの市場を新たに創造しているパイオニアとして、セキュリティ業界にて国内外問わず非常に注目されています。今後、クラウド時代に向け、情報漏洩を含めた企業のセキュリティ対策にファイアウォールが担う役割は益々大きくなっていくでしょう。
野田陽介(株式会社ジャフコ)
電機メーカーのエンジニアを経て現在ベンチャーキャピタルにて米国を担当。IT分野にフォーカスした投資および日本におけるビジネスデベロップメントを担当している。
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投資会社ジャフコの厳秘情報はどのように守られているか?
ジャフコでは、USBメモリなどの外付けストレージは原則読み取りのみ。加えてメモリに書き込みの際は全て暗号化しています。PCへのソフトインストールおよびウェブメールのアクセスも原則禁止です。また、社内から社外向けメールの添付ファイルに関しては、全て自動で暗号化を実施しています。厳秘情報を扱う頻度が高いため...(続きを読む)
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こちらでは、読者から寄せられた意見をピックアップして紹介します。
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PCはワイヤーで固定し、HDDは暗号化している。持ち運び可能な媒体は暗号化ファイルを記録しノートPCと同じく移動の際も肌身離さず携帯するようにしている。
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>これらの経験から今後、企業に求められる情報漏洩対策としては、定めたルールを「自動化」できるような対応を実施していく必要があると考えております。
細かい部分への意見となりますが、IT業界では、ここ数年少々偏屈的ともいえるぐらいに、情報漏えい対策のシステム化が進んでいると思います。
ただ、どちらかというと極端に偏屈的に自動化したため、人のほうが慣れてくる面もあると思います。必ず出る確認ダイアログも一日に十数回、年に何千回も見ていると、そのうちの何回かは何も考えずに反射的に「OK」をクリックしてしまう状況がでてくると思います。
確かにUSBの自動暗号や、許可されたUSBしかPCが認識しないなど本当の意味での完全な自動化は成功すると思います。
しかし、自動化の過程に人が介在する場合は面倒になりおざなりになるとそこがリスク発生点となってしまうと思います。
>「ルール決め」「人(従業員)」「テクノロジ」
確かに正論なのですが、やっぱり「人」がネックとなってきます。どんなに教育を施して、意識付けができたとしても日常業務における面倒な点はついつい”今回ぐらい”はという油断を生む温床となります。
以上、まとまりがありませんが完璧な自動化によるセキュリティ保護が達成できない現状では、インシデント発生リスクは絶えず存在していることを技術の普及と共に合わせて、リスクの存在も普及していくべきなのかなと思いました。
各分野の賢人と、読者の意見が集う6つのテーマ一覧をぜひご覧ください。