かつて、エンタープライズソフトウェアの多くは、企業トップの承認を受ける正式な購買プロセスを経て、いわば「表口」から企業内のIT環境に組み込まれてきた。あるいは、それと同等の、複数年にわたる会社の正式な開発計画の一環として社内で作成された。購入と社内開発を組み合わせる方法もあった。しかし、こうして手にいれた高価なパッケージソフトウェアが、すぐに効果をあげるとは期待されていなかった。
もちろん、今でも多くのソフトウェアが、そのようにして購入または開発されている。しかし、この10年間の状況をよく調べると、現在日常的に利用されているツールやその他のソフトウェアの多くが、根本的にはボトムアップ方式で採用されたものであるようだ。こうしたツールやソフトウェアは、主に「裏口」から企業内に入り込み、組織のいわゆる「影のIT」となっている。また、これらのソフトウェアは、「正規のIT」に促され正統なものとして導入されたものではない。多くの場合、IT部門がソフトウェアの配備に取りかかろうとする前に広がってしまい、実際に使用されていたのである。
Linux(より広義ではオープンソース全般)は、おそらくこの傾向を示す典型的な例である。Linuxが採用されるようになった方法は、いくつかの点で、Windows NTサーバからPC、初期の時代のUNIXなど、一般な分散コンピューティングの過去の採用パターンをまねたものである。しかし、オープンソースライセンスは、1つの大きなステップを簡単に実現する「裏口」をもたらすものとなった。実際、「オープンソースライセンスは、開発者やユーザーの基盤の構築に役立ち、ソフトウェアが本格的に稼働するようになったときに、お金に変えることができる」という考え方が、オープンソースに関連するビジネスモデルについての見方の大勢を占めている。
さらに、この傾向は、オープンソースのみにとどまらなくなっている。次の2つの例を検討してみよう。
特に、従業員が分散した環境で働くようになり、「Novell Teaming + Conferencing」や「Lotus Domino」といったツールは、単なる電子メールやスケジュール管理機能にとどまらない、もっと広い意味での、公式および非公式の社内でのコミュニケーションまでをも対象とするようになった。Ciscoの最高経営責任者(CEO)であるJohn Chambers氏は、Ciscoやテクノロジ業界全体が向かう先を1語でいうと「コラボレーション」であると表現している。
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