太陽光セルおよびパネルを製造するSuntech Powerで最高戦略責任者(CSO)を務めるSteven Chan氏は、連邦政府が気前の良い奨励策を出し、しかも需要もあるのだから、大型の案件は依然として「資金調達可能」な状態にあるとした。ただし投資家は条件を変えつつあるように見受けられる。
経済の全般的な落ち込みは太陽光発電に別の形で水を差すかもしれない。企業の収益が悪化して支払うべき税金が減るのなら、政府の奨励策によって税優遇という「ニンジン」がぶら下げられていても、屋上に太陽光アレイを導入することはおそらくはしないだろう。
金融市場の混乱によって太陽光発電企業の事業拡張計画が遅延する恐れもある。新規上場の機会がほとんど失われてしまった現在では、たとえば新しい製造設備を建設するために株式市場で資金を調達しようとしても、調達までに時間がかかってしまうだろう。
堅調そうにみえる個人住宅向け市場
一方、消費者からは太陽光エネルギーは今までになく魅力的にみえる。
連邦政府の最近の政策変更により、住宅の所有者に太陽電池パネル購入費用の30%の税控除が適用されるようになったからだ。以前の政策では控除額は2000ドルが上限となっていた。
「上限が撤廃された結果、郊外の平均的な住宅の太陽発電システムに3万ドル程度かかるとして、9000ドルの税控除が受けられる」とChan氏。「現金だから効果は大きい。住宅所有者にとっては追い風の状況になる」
税控除は来年から実施されるが、延長の結果8年間にわたって適用される。こういった制度としては比較的長期間だ。また、太陽光セルの効率は今後も向上が見込まれるため、住宅所有者は同じ価格でより発電量の大きなパネルを購入することができるようになると、Chan氏は言う。
ちなみにSolar Power Internationalカンファレンスでは、環境志向の強い消費者向けビジネスの話になると、「税控除投資家」や「内部収益率」のような無味乾燥な金融用語が交わされていた。
ビジネスの経済性を追い求めることは当然の成り行きであり、太陽光発電の導入は今後5年間で急速に拡大するだろうと、Solar Electric Power Associationのエグゼクティブディレクターを務めるJulia Hamm氏は考えている。テクノロジの進歩によって屋根用太陽光パネルの発電コストは商用電気料金に近づきつつある。いわゆる「グリッドパリティ」がみえてきた。
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