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データセンター電力問題“急浮上”の背景

 データセンターの電力問題はどのように顕在化してきたのだろうか――。

 この問題をサーバのタイプの変遷と単位面積あたりの必要な電力量との関係で見ると、1990年代のメインフレーム時代であれば1キロボルトアンペア(KVA)/ラックであったのに対して、その後のUNIXワークステーションの時代には2KVA/ラック、現在主流となっているIAサーバでは4KVA/ラックとなっている。さらに、これがより高密度化されたサーバになると、10KVA以上になるケースすらあり、消費電力が拡大の一途であるのは明らかだ。

 このような舞台の裏には、ユーザー企業、サーバメーカー、データセンターそれぞれの事情があるようだ。

 多くの企業では、ビジネス上の情報システム適用範囲の広がりに合わせIT機器の利用台数を加速的に拡大させ、結果としてコスト削減のために単位面積あたりの処理能力を向上させたいという要求が高まった。プロセッサメーカーやサーバメーカーではユーザーの要求に合わせ、CPUの処理能力向上、サーバ形状もタワー型からラック型、そしてブレード型へと小型化・高集積化を図り、単位面積当たりの処理能力の向上を実現したが、それに比例して消費電力も右肩上がりに増える結果となった。

 また、多くのデータセンターや企業のサーバルームは、UNIXワークステーション全盛期に建設されたものが多く、そもそもの設計計画上、高集積化されたサーバが消費する電力や、そのサーバからの排熱を冷却するだけの十分な冷却装置を保有していないことが多い。

 具体的にデータセンターやサーバルームの中で電力はどのように消費されているのだろうか。

データセンターで消費される電力の内訳 データセンターで消費される電力の内訳 ※画像クリックすると拡大します。

 サーバで消費される電力のほとんどはCPUが消費していると思われがちだが、実際サーバで使用される電力の約半分は、CPUやメモリー、ハードディスク以外の冷却ファンなどの「その他」の部分で消費されるという調査結果が出ている(Hewlett-Packard調べ)。またデータセンターで使用される電力の多くが設置されたサーバやストレージのIT機器で消費されているという誤解も一般的となっていたが、実際はIT機器などで発生した排熱を冷却するための空調設備や電源変換時ロスに、全体の約半分の電力を消費しているという実態が明らかになっている。

 こうして見れば分かるように、さまざまな事情が絡み合うことで、データセンターでは深刻な電力問題が発生している。本来であれば、IT技術を利用して、膨大なプリントレポートを削減したり事務処理を効率化することで“エコ”な環境を実現するはずが、いつの間にかIT利用に費やすエネルギー使用量そのものが環境問題のテーマになってしまったのだ。

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