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全体最適化で進めるCTCのグリーンIT戦略

 

エコを指向したデータセンターの取り組み

 サーバからデータセンター、リソースオンデマンド型サービスまでのすべての領域でエネルギー効率の改善を目指してきているCTCでは、グリーンITというキーワードが登場する以前から、エコを指向した取り組みを続けてきている。

 同社は1987年に横浜センターにコジェネレーション(熱電併給)設備を導入、1999年に環境管理システムの国際標準規格である「ISO14001」の認証を横浜センターと神戸センターで取得している。2000年には省エネ設備として「氷蓄熱システム」を横浜センターに導入している。このシステムは、冷凍機を夜間電力で運転することで氷を生成、日中に空調用冷房冷熱源として利用するというものだ。夜間電力を利用することで、電力負荷の平準化に貢献している。

 また2006年には横浜センターで、夜間に電気を蓄電し、日中に放電することで電力負荷の平準化に貢献するシステムである「NAS電池」をデータセンター事業者としては国内で初めて導入した。これによりITシステムの稼働に燃焼を伴わないクリーンな環境を実現している。

データセンタービジネスとしての環境への取組み データセンタービジネスとしての環境への取組み ※画像クリックすると拡大します。

 これらは20年にわたるCTCのデータセンターにおける環境問題への取り組みの一部だという。

 グリーンITというキーワードが日本でも注目されはじめた2007年に米国で「グリーン・グリッド協議会(Green Grid Consortium)」が発足した。データセンターのエネルギー効率改善を目的として活動を開始したばかりで日本ではまだ認知度の低かったこの米国IT業界のNPOに、CTCは初の日本企業メンバーとして正式加入している(同協議会はこの5月に日本に委員会を発足させている)。

 そしてCTCは2008年秋には環境配慮型の次世代データセンター「目白坂データセンター」を竣工させる予定である。東京都文京区に立地する目白坂データセンターは、地上5階・地下2階で延べ床面積5800平方メートル。環境に配慮した設備を導入する予定だ。

環境配慮型の目白坂データセンター(MDC)のご紹介 環境配慮型の目白坂データセンター(MDC)のご紹介 ※画像クリックすると拡大します。

 目白坂データセンターで画期的な取り組みとして注目を集めているのが、高効率・低消費電力を図れる直流(DC)電源設備を、従来の交流(AC)電源とともに導入することだ。今まで通信事業者向けの限られた用途で使われていたDC設備を、顧客向けの標準商用設備として採用する。

 電力会社から供給される電力は通常のAC方式の場合、サーバのCPUで消費されるまでに最大5回の変換ロスが発生することになるが、DC給電方式であれば、変換ロスは最小の2回で済み、最大30%の効率化が図れるという。また、ある機器やシステムが故障するまでの時間の平均値であり、使用を開始して、あるいは故障から回復してから、次に故障するまでの平均時間を示す平均故障間隔(Mean Time Between Failure:MTBF)も、AC電源が20万時間に対し、直流電源は200万時間と約10倍の高信頼であることも注目されるゆえんである。

 CTCは目白坂データセンターへのDC設備の標準装備にあわせて、米国でDC電源方式を採用した省電力サーバメーカーとして評価の高いRackableSystems社(nasdaq:RACK)と業務提携し、DC電源方式のサーバとストレージ機器の日本国内での販売を行う。そのほか、高効率の空調機器の導入と稼働台数制御、冷熱と排熱の混合ロスを最小限にする暖気遮断カーテンも導入。さらに人感センサー付の照明システムやラック単位の温度計測システムも採用する予定だ。

 このように、業界内でも先端的な仕組みで構成される目白坂データセンターがどのような成果をもたらすのか注目を集めるところであり、データセンターひとつをとっても、CTCは目を見張るグリーンIT戦略を採っていると言うことができるだろう。ほかのデータセンター事業者が同社と全く同じ戦術を採る必要はないが、温暖化対策として業界全体でグリーンITを進める上では、CTCと同様な熱心さで挑むべきであるということは誰の目にも明らかだ。次回以降は、CTCにおけるグリーンITのより詳細な戦術を紹介する。

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