Microsoftは米国時間12日、古くなったマシンの継続的な使用を希望する企業のために、新しいバージョンのWindowsを開発していることを認めた。
Eiger(開発コード名)と名付けられた同製品は、古いPCをシンクライアントとしてよみがえらせることを目的に設計されている。シンクライアントとは、情報の大部分を中央のサーバで管理する端末のことである。ただし、Eigerは従来のシンクライアントとは違い、Internet ExplorerやWindows Media Player、ウイルス対策ソフトなどのプログラムをローカルで実行するようにできている。
MicrosoftがEigerの販売対象としているのは、新しいPCの購入が難しい、または購入を望まない顧客のうち、古いコンピュータのセキュリティが心配だったり、管理の難しさを心配していたりする人たちだ。たとえ技術的には可能であっても、古いマシンをWindows XPにアップグレードすることは必ずしも賢明な選択であるとは限らない。
「Windows XPを起動することが可能であっても、それが快適に動作するとは限らない。たとえばPCの起動に20分もかかる場合がある」とMicrosoftのWindows Client部門でグループプロダクトマネージャを務めるBarry Goffeは述べる。「Eigerは、このような顧客のために設計されるソリューションだ」(Goffe)
ただし、Eigerの提供開始時期は、明らかにされていない。
Goffeによると、同製品はまだ開発の初期段階にあり、今週プレビュー版が数十社の顧客に配布されたばかりだという。Goffeは、製品の正式な発売日や価格については明らかにしなかった。
「古いマシンを所有する顧客の大部分は、新しいオペレーティングシステム(OS)がインストールされたPCを新しく購入するだろう。しかし、なかには、財政上または会社の方針上の理由などで、新しいハードウェアを購入できない顧客もいる」(Goffe)
Eigerは、セキュリティなど複数の面で、従来のWindowsから改善が図られている。しかし、従来のWindowsほど多くの機能を備えていないことも事実だ。Microsoftは、何十万もあるWindows用プログラムのほとんどについて、Eiger上での動作を保証しない予定だ。またMicrosoftは、Windowsユーザーの多くが利用しているであろうOfficeのサポートすら約束していない。EigerベースのPCを利用する人は、Officeなどのソフトをサーバ上で起動し、Microsoftのリモートデスクトップ用ソフトウェアや、Citrixなどから提供されるシンクライアントソフトウェアを使用してこれにアクセスすることになる。
Goffeは、Eigerについて、古いPCを保有する企業に長期に渡って提供する予定はないと述べる。むしろ、EigerはWindows XPやLonghornへの橋渡し役を担うものになると同氏は述べる。
「今はハードウェアを購入できないという顧客にとって、Eigerは良いソリューションになる」とGoffeは述べる。「Eigerは当座の間に合わせとして機能するように設計されているからだ。当然、最善のソリューションは、新しいOSがインストールされた新しいPCを購入することだ」(Goffe)
また、Goffeは、Microsoftの古いOSを利用する顧客のうち、Eigerを採用する人はごくわずかになるであろうことも認めている。
Microsoftにとっては、このEigerを出すことで、ウイルスや他の悪質なコードの餌食になる可能性の高いパッチ未適用の古いマシンを減らせるというメリットがある。また、旧型マシンを新しいものに交換する以外には安全を確保する手だてがないとの不満を抱いてきたユーザー側でも、この新OSでそうした不満が解消されることになる。
「パッチを適用できない旧型マシンをいまでも使っているために、セキュリティの点に不満を感じる顧客がたくさん存在している」(Goffe)
Eigerの正体は、Windows XP SP 2とWindows XP Embeddedとを組み合わせたもので、「Eiger」という開発コード名はスイスにちなんだものだ。
Microsoftは、Eigerの動作環境として、Pentium IIプロセッサと128Mバイトのメモリを搭載したマシンを推奨している。ただし、同ソフトウェアはさらに前のPentiumチップと最少64Mバイトのメモリを積んだマシンなら動作可能になるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ