トラフィックの増加によって逼迫するWAN回線
企業の情報システムで扱うデータ容量が増大するにつれ、ネットワークを流れるトラフィックも急速に増加している。ある調査によると、企業の各拠点間を結ぶWANトラフィックは年平均13%の割合で増え続けており、中でもビデオトラフィックは25~30%で成長しているという。平均的なビジネスユーザーは、1カ月に4GBものWANトラフィックを生成しているという報告もある。
こうした状況に対し、企業のWAN回線は逼迫しつつある。拠点間を結ぶWANは、低遅延で独立したIP-VPN(MPLS)回線を利用することが多いが、この回線は通信コストが高価で容易に帯域幅を増やせない。コストを重視してインターネット回線の利用を選択すると、ベストエフォートで提供されるため帯域幅の確保が難しく、セキュリティ対策も必須という課題に直面する。
この課題を解決する最善策は、IP-VPN回線とインターネット回線を適材適所で併用するハイブリッドWANを構築することだ。例えば基幹システムの重要なデータはIP-VPN回線経由で転送し、機密性の低いビデオストリーミングはインターネット回線を通じて流すのである。
複数のWAN回線を統合し帯域幅を最大化
しかしこれを実現するには、ノード単位の複雑な運用管理が必須。簡単に一元管理できなければ、導入は難しい。そこで新しいソリューションとして注目されているのが、シトリックスの「NetScaler SD-WANソリューション」である。従来は「CloudBridge」という製品名で提供されていたが、このほどNetScalerのブランドに統合する形で装いを新たにした。
※クリックすると拡大画像が見られます
NetScaler SD-WANとは、ネットワークをソフトウェアで管理するSDN(Software Defined Network)をWANサービスに適用したもの。WANの複雑な運用を一元管理するとともに、ハイブリッドWANを有効活用できるというメリットがある。また、複数の異なるWAN回線を束ねて一つの論理回線として統合できるので、WANの帯域幅を最大化するとともに回線コストを削減するという効果も期待できる。
NetScaler SD-WANは、専用アプライアンスを各拠点に配備して、アプリケーションを優先度が設定されたカテゴリーに分類するだけですぐに利用開始できる。障害が発生した際の回線切替やロードバランスにも対応。このソリューションを導入するだけで、企業は高信頼性と低コストを両立させたWAN環境を構築できる。