企業内で加速度的に急増するデータの中から、得たい情報をいかに迅速に検索するか。アプライアンス製品を市場に投入し、企業内ネットワーク検索でも基盤を固めようとするグーグルは、統合された検索環境がそのカギになるという。また、普段慣れ親しんだグーグル検索ページと同様な使い勝手が、企業内に蓄積されたデータの有効活用を可能にするとも示す。今回は、同社のエンタープライズ部門でセールスマネージャーを務める大須賀利一氏が登壇し、統合的検索プラットフォーム構築の有効性に関して語った。
企業内検索も一般向け検索と同じユーザー視点で
グーグル株式会社
エンタープライズ セールス マネージャー
大須賀 利一氏
大須賀氏は、冒頭、「グーグル エンタープライズ部門のミッションは、Google全社のミッション同様に、企業向けサービスにおいて世界中の情報を整理し、世界中の人々がそれを簡単に活用できるようにすることにある」とその立場を明らかにした。
この世界中の情報とは、オンライン化されたものだけではなく、インターネットにつながっていないもの、デジタル化されていないものまでを含む。もちろん、企業が所有するコンテンツやイントラネット内に蓄積されたドキュメントなども対象となる。それらに対しても、ユーザーが簡単にアクセスでき、必要なときに使えるようにすることにフォーカスしていくことがグーグルの使命だという。
そこで大須賀氏は、「テクノロジーの観点から見ると、ONとOFFの境界、つまりビジネスとプライベートの垣根がますます低くなっている」といった見方を示した。iPodやHDDレコーダーなど、コンシューマ向けのテクノロジーが発展し、それが技術革新の起爆力になっている。パソコンやモバイルは、ビジネスやプライベートを問わず利用され、ブロードバンド化やワイヤレステクノロジーも進化した。そのような、消費者のプライベートな時間に利用する“慣れ親しんだもの”がテクノロジーを推し進めるというのだ。
「それは、検索環境に置き換えても同じ。人々は検索への期待値を高め、インターネットを通じて、世界中どこにいても専門的な知識を無償で、かつ簡単に探し出せるようになった。しかし、企業内に目を転じると、業務システムの多くは使い勝手が悪く、そこに大きなギャップを感じる。開発者がエキスパート向けにデザインし、テクノロジーにフォーカスした結果、ユーザー視点が軽視されている」(大須賀氏)。
そのため、グーグルの企業向け検索の開発は、一般向け検索と同様なユーザー視点を基本的アプローチにしているという。使い慣れたインターネット向けの検索エンジンやインターフェースを、そのまま企業内に取り込むことで、従業員が違和感なく利用できるものを目指している。
検索が企業内でのゲートウェイ的インターフェースに
「今後、企業向け検索への注目が高まる。エンタープライズ向けの有力アプリケーションベンダーからも、『これまでのGUI導入やWeb化の次に、検索が企業内でのゲートウェイ的インターフェースになる』といったコメントが寄せられている」(大須賀氏)。
企業のサイト内検索がどのようなソリューションを提供できるのか。大須賀氏は実際の利用シーンを用いて説明した。その1つが、オンラインストアなどの商用サイトだ。そこにフリーワード検索を導入することで、オンラインストアならではのロングテール商品などへのアピールや、購入意志のある顧客を的確にマッチさせることも可能になる。また、クチコミ情報やレビューなどのCGM(Consumer Generated Media)もサイト上で効果的にアピールでき、検索のキーワードを収集することによって、ユーザーが具体的にどんな商品を探しているのかを素早く把握できるなどのメリットがあるという。
「企業では、様々なドメインを持ち、言語別やブランド別にページを設けるなど、いろいろな形でサイトを構築している。消費者がインターネットのフリーワード検索で慣れ親しんでいることを考えると、一つのキーワードに対して、関連深いもの順に候補を表示する方が顧客にとっては分かりやすい」(大須賀氏)。