MetaMojiは2月3日、iPad向けデジタルノートアプリケーション「7notes」をApp Storeで販売開始した。価格は1500円で、2月末まではキャンペーン価格の900円で販売する。
7notesは、マルチタッチスクリーンを持つiPadで、日本語の手書き入力によるメモを作成するためのアプリケーション。最大の特長は、MetaMojiが新たに開発した手書き入力技術である「mazec(マゼック)」を搭載している点だ。
mazecでは、「書き流し入力」「交ぜ書き変換入力」と呼ばれる入力方式を併用することで、快適な日本語変換を行える。これにより、例えば「会議」と入力したい場合、手書き入力エリアに「会議」「かいぎ」「かい議」「会ぎ」のいずれを手書きしても、「会議」と変換して入力することができる。
手書き認識には仏VisionObjectsの多言語対応エンジン、日本語変換辞書にはオープンソースソフトウェア「OpenWnn」と奈良先端技術大学院大学の持つ技術をベースとして、MetaMojiで認識精度や変換精度を向上させるための独自のチューニングを行っているという。ひらがなとカタカナ、かな漢字とアルファベットの混在入力やソフトウェアキーボードによる入力変換もサポートする。
7notesのエディタ機能では、変換されたフォント文字と手書き文字そのままのイメージを混在して扱える。文字単位での装飾やコピー&ペーストも可能で、例えば、手書き文字に対して、後からカラーやサイズの変更を行うといったこともできる。マルチカラムのレイアウトにも対応し、iPadのフォトライブラリやウェブサイトのスクリーンイメージを張り込むことも可能だ。
また7notesは、ネットワークに接続しているときに、付属のオンラインストレージサービスである「デジタル・キャビネット」と自動的に同期する。デジタル・キャビネットは2Gバイトまで無料で利用が可能。オフライン環境においても、文書をキャッシュへ保存し、オンライン時に自動的に同期するという。
MetaMoji代表取締役社長の浮川和宣氏は、「iPadの出荷直後から買い求めて、その製品としての完成度の高さに感動していた。しかし、それでも使い勝手の面で足りないものがあると感じていた。長らく、コンピュータでのかな漢字変換技術(ATOK)に関わってきたが、iPadで手書き文字認識による日本語を入力できるようにすることで、本当に自分たちの役に立つものを作りたいと思った」と述べた。
また、代表取締役専務の浮川初子氏は、「iPadが出たときに、パソコンと出会ったころと同じような衝撃を受けた。iPadはハードウェアとして非常にバランスがとれているが、ソフトウェア面ではこれからで、ソフトウェア技術者には多くの仕事が残されている。iPadを実際に持って歩いて使える賢い道具にするためには、ソフトウェアがやらなければならないことがまだまだある。7notesはその第一歩」と、開発意図を語った。
現時点で7notesには、他のソフトやウェブサービスとの連携機能は搭載されていないが、今後検討したいとしている。また、提供形態についても、現状はエディタと変換システム、ストレージサービスを一体としているが、「例えば、ビジネスアプリケーションの入力フロントエンドとしてmazecを使いたいというような要望があれば、連携を考えていきたい」(同社)としている。
なお、MetaMojiでは、7notesの販売に先立ち、タブレット端末およびスマートフォン向けのクラウド、アプリサービス販売を専門に行う100%出資の事業子会社「株式会社7knowledge(セブンナレッジ)」を設立している。7notesについては、年内をめどに海外市場やAndroid端末向けにも提供を行う予定という。