MetaMoJiは3月3日、同社初となるソフトウェア「OntoGear」を発表した。5月10日より無償の評価版を提供する。
OntoGearは、大阪大学産業科学研究所教授の溝口理一郎氏が中心となって研究を進めてきた“オントロジー工学”の概念をもとにした機能モデリングツール。オントロジーとはもともと物事の存在に関する理論を意味する哲学用語。オントロジー工学とは、このオントロジーの考えのもと、知識やノウハウを計算機で利用できるように構造化する方法論のことだ。
ジャストシステム創業者でMetaMoJi代表取締役社長の浮川和宣氏は、ジャストシステム在席時に溝口氏と同氏の研究するオントロジー工学に出会い、共同での研究開発に取り組んできた。しかしキーエンスによるジャストシステム買収後、同事業の中断が決定。そこで夫人でジャストシステムの共同創業者でもある浮川初子氏とともに同社を退社。オントロジーやXBRL(eXtensible Business Reporting Language)に関する事業をジャストシステムから譲り受けてMetaMoJiを設立した。
OntoGearでは、機械などの人工物について、機能や構造を細分化して「機能分解木」と呼ぶ図式に記述できる。機能分解木を作成することで、その人工物の設計意図や製品への理解を共有し、特許技術の管理から固有技術の継承、トラブル発生時の迅速な問題解決などが可能になるという。
溝口氏によると、住友電工では2002年からOntoGearのプロトタイプを利用しているという。同社では、機能分解木を作成することで、特許出願時の明細書の作成時間が以前の4分の1になったり、3カ月間解決しなかったトラブルをわずか5日間で解決したりという事例が出ており、すでに高い評価を得ている。
MetaMoJiでは5月に評価版をウェブサイトで公開したのち、2011年の有償化を目指す。浮川氏は「(有償版の)価格などはこれから詰めていく。まずは学習していただき、役に立つことを実感いただくいただく必要がある」とコメント。今後は技術情報の提供サイトを解説するほか、OntoGearの利用方法を指導するといったコンサルティングサービスも提供していく予定だ。