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記事まとめ「テレワーク常態化で見えたこと」

自ら設立したMetaMojiで浮川社長が芽吹かせた「事業の種」が実を結ぶ日

大河原克行

2010-03-08 09:30

 ジャストシステム創業者である浮川和宣氏が設立したMetaMoJi(メタモジ)が3月3日、同社初となる製品を発表した

 ジャストシステムから譲渡を受けた機能オントロジー構築システムがそれ。大阪大学産業科学研究所の溝口理一郎教授を中心に進めてきたオントロジー工学の応用・実用化研究の成果として開発されたもので、機能モデリングツール「OntoGear」としてMetaMoJiがリリースする。評価版は2010年5月から無償で提供。2011年から製品版を有償で頒布する計画だ。

 「ジャストシステムでは、機能オントロジーについて、大阪大学の溝口研究室と共同で研究を進めてきたが、事業を継続しないというのが判断。私は残念に思うとともに、産業界にとっての損失になり、大げさにいえば人類にとっての損失になると考えた。そこでジャストシステムから事業譲渡を受けて、社会に必要なメソッドとして、MetaMoJiから提供していくことにした」と語る。

 また、溝口氏は、「すでに2002年から住友電工で導入され成果をあげているのがOntoGear。約90語の機能語彙を用いた機能分解木を利用することで、機能発揮、不具合事象、製造プロセスなどの製品ライフサイクル上のすべてのプロセスを、ひとつのツールで記述、管理できるようになる。これまでは仮説系統図を使用した問題解決を図る企業が多かったが、これでは経験則が必要であったり、漏れが出やすい。だが、機能分解木を活用するとこうした問題が解決される。特許明細書を記述する際にも、3分の1の時間で済むようになる」などとした。

浮川和宣氏 MetaMoji初の製品となるOntoGearで「国内製造業の競争力向上に寄与したい」と語る浮川氏。

 浮川氏は「OntoGearによって、まずは国内製造業の競争力向上に寄与したい。また、MetaMoJi自身はスタートしたばかりの会社であり、情報を提供するにも限界がある。OntoGearを基盤にして、広範な知識利用者が自由に集まり、交流できる知識コミュニティによって、技術知識のオープンな相互交流を実現する」とする。

 第1号製品が登場したとはいえ、まずは無償配布。事業化については、まだ先の話だ。この製品がMetaMoJiの収益の柱となるには、まだ時間がかかる。

 MetaMoJi設立後、私は浮川氏に単独インタビューをした。その際、同氏はこんなことを語った。

 「経営者の仕事は好きではない。私がやりたいのは、新たなことを生み出す仕事」

 これが浮川社長がMetaMoJiを設立した理由だ。言葉を言い換えて、「線路を敷く仕事」「毎日違うことをやる仕事」という表現を浮川氏は用いる。

 「例えるならば、どこからどこに向かって線路を敷くのか、あるいは線路を敷くのではなく、道路を作った方がいいのか、空路を選択した方がいいのかを考えるのがMetaMoJiの仕事。その線路の上を、どんな電車を走らせるのか、どんな速度で運行するのか、何両編成にしたらいいのかといったことには興味がない」

 研究開発を中心にして、事業の種を作るのがMetaMoJiの仕事であり、それが浮川氏が自ら手がける仕事。そして、それを拡大させるのは、事業拡大に興味を持つ人、得意にする人に任せるという意味だ。

 また、同じ仕事を毎日したくないというのは、社長業よりも、新たなことに挑戦できる立場を優先したいという姿勢の現れだ。

 事業化のめどがついた技術やサービスについては、別途事業会社を設立して、そこで事業化する。浮川氏は、事業会社の社長を一時的に務める、あるいは非常勤の取締役に名を連ねるということはあるが、事業会社の経営に直接関わるつもりはないという。

 今回のOntoGearについても、事業化する際にはMetaMoJiにおいて推進するのではなく、別に事業会社を設立して、そこに任せるという手法が有力だ。

 「行燈(あんどん)を持って先頭を歩いて案内する役割」

 浮川氏は自らの役割をこう語る。いよいよ行灯をもって歩き始めたのが、今回の第1号製品だといえる。歩みは意外にゆっくりだ。

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