日本マイクロソフトは、Microsoftの最新の研究開発成果について、報道関係者を対象に説明した。同社は「デバイス&サービスカンパニー」への変革に取り組んでおり、それに向けた開発体制や方針などについて述べた。
同社の最高技術責任者で、日本の開発会社であるマイクロソフトディベロップメントの代表取締役社長を務める加治佐俊一氏は「デバイス&サービスカンパニーという方針を掲げ、会社が大きく変化する中で、開発の仕方を大きく変更している」とし、さまざまな研究開発成果を紹介した。
日本マイクロソフト最高技術責任者兼マイクロソフトディベロップメント代表取締役社長の加治佐俊一氏
冒頭、加治佐氏は「ちょうど20年前の1994年1月に、Windows NT3.1日本語版を発表した。現在までこれが進化しながら使われ続けている。各種Windows製品との連動やパートナーエコシステムとの連携によって、さまざまなフォームファクターの製品をこれからも投入していくことになる」としながら、「Microsoftが1975年に設立してから最初の20年間はPCを実現するためにものを作ることが優先された時期であった。
その後、1995年にBill Gates氏は、社内メモで「The Internet Tidal Wave」と書き記し、インターネットビジネスに乗り出した。また、2005年のRay Ozzie(レイ・オジー)の「The Internet Services Disruption」というメモによって、Microsoftがデータセンターの自社運用に本格的に乗り出して、ソフトウェア&サービスの会社に進化した。また、2012年にはSteve Ballmerの株主向け書簡において、「The Device and Services」への転換を示し、それが2013年7月からスタートした」と、これまでの経緯を紹介。「デバイス&サービスカンパニーは、どんな場所においても、仕事や家庭を問わずに利用できる環境を提供するというものになる」とした。
また、開発部門は、2013年7月の組織改革で9つの開発部門から、コンソール、モバイルデバイス、PCなどの「Operating Systems」、プロダクティビティ、コミュニケーション、サーチなどの「Application and Devices」、データセンター、データベースなどの「Cloud and Enterprise」、大小さまざまなデバイスを含むハードウェアの開発などを手掛ける「Devices and Studios」、CRMやERPに対応したDynamics関連製品の開発を行う「Business Solutions」の5つの部門に再編したことに触れた。「これらの組織は互いに連携して“One Microsoft”としての開発体制を敷いている点が大きな変化であった」とする。
また、「過去は3年単位で開発プロジェクトを回していたが、この結果、新たな機能が盛り沢山となり、プロジェクト管理も大変であった。また、途中で中身が変わることはほとんどなかったが、Windows XPからWindows Vistaの際には、途中で大きな変更があったため、それによって製品リリースの期間が空くという原因にもなった」とし、「現在の開発の仕方は、OSやシステム管理製品は、ラピッドリリースにより、1年単位などでの短い開発サイクルにしていること、日から月単位で小さな機能開発を繰り返し行うアジャイル開発体制を敷いていること、そして、クラウドファーストの体制にしていることが特徴である」と説明。
Excahngeでは、オンプレミスのExchange Serverと、クラウドサービスのExchange Onlineを提供しているが、現在はクラウドのExchange Onlineの新機能を次々と搭載し、顧客にすぐに使ってもらっている。これにより、良い点、悪い点をすぐにフィードバックできるというメリットがある」とした。また、今後は、「タッチファーストにより、タッチデバイス利用に向けた開発を優先していく。テレメトリやフィードバックによるユーザーからのデータを重視し、改良を加えていく姿勢は変わらない」と説明した。
さらに、アジャイル開発では東京、品川の日本マイクロソフト本社内で開発したOneNote用のカメラキャプチャを紹介。Surface 2のカメラで書類を撮影すると、斜めに撮影したものも真っ直ぐに修正。さらに画像内の文字はOCR機能によってテキスト表示ができる様子をデモストレーションした。
OneNote用のカメラキャプチャ機能