独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)と一般社団法人のコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)は6月12日、「ソフトウェア品質説明のための制度ガイドライン」と同ガイドラインに準拠した「パッケージソフトウェア品質認証制度(PSQ)」を発表した。
今回発表された、ソフトウェア品質説明のための制度ガイドラインは、正式には「製品・システムにおけるソフトウェアの信頼性・安全性等に関する品質説明力強化のための制度構築ガイドライン」となり、専門知識を持つ中立的立場の第三者が品質を確認し、その成果を利用者に示す制度としている。
IPA 理事 技術本部長 仲田雄作氏
IPA 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター所長 松本隆明氏
品質を中立的に評価し、利用者の不安を取り除く
IPA 技術本部長 理事 仲田雄作氏は、「IPAの第3期中期計画に基づく2013年度の事業計画の中で、利用者視点でのソフトウェア信頼性の見える化の促進に取り組んでおり、制度ガイドラインは、その具体的な成果となる。3年前から準備を始め、3月29日~4月30日に意見を公募。その結果を反映し、今回の発表に至っている」と、制度ガイドライン策定の経緯を語る。IPA 技術本部ソフトウェア高信頼化センター所長の松本隆明氏はガイドラインの意義をこう説明した。
「ソフトウェアが社会生活に不可欠なものとなっているが、故障やサービス停止などが生じた際の影響や安全性に不安がある。利用者にとっても、商品、サービスの品質を知る必要があるが、品質の確認が難しいのが実態である。また、ソフトウェアが大規模化していることや、複数のシステムが連携した形での利用が増え、全体品質を確認することが難しくなっている。海外での開発を含めたサプライチェーンの多様化により、品質説明がさらに難しくなっている。今回の制度ガイドラインは、ソフトウェアが重要な役割を果たす製品、システムで第三者による品質などを確認することで、利用者は製品の適切な選択や安全な利用ができ、供給者の側は社会からの信頼性向上、ブランド向上、利用者の正しい利用の促進などが図れる」
IPAでは、制度ガイドラインの認知度向上に向けて各種業界団体への説明や制度化に向けた支援を行う予定。今後、IT関連の業界団体に限定せず、幅広い業界団体に対して、普及、展開支援を行っていくことになる。
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同ガイドラインに準拠した第1号として、CSAJがPSQを6月12日から開始した。PSQは「JIS X25051:2011(ISO/IEC25051:2006)」をもとに制度化。パッケージソフトウェア製品に関する利用者や市場への品質説明力強化、国際市場での日本製品の品質に関する正当な評価の確立、利用者の潜在的なリスク軽減、ソフトウェア製品の本質的な品質向上などを目的としている。