情報システムは企業全体を担うものに
改めて言うまでもなくビジネスとITは直結している。そのおかげで、かつては一部業務を効率化するものでしかなかった情報システムは企業の業務全体を担うものとなり、情報システム全体は大規模化・複雑化の道をたどらざるを得なくなっている。また、企業を取り巻く環境は年々変化のスピードが加速化され、短期化も要求される。
こうした現実から、情報システム構築という局面において、より高い生産性とより高い品質を求める声が高まってきていることは誰の目にも明らかだろう。すなわち「大規模化・複雑化・短期化するシステム開発を効率的かつ安全に行いたい」「開発者の経験やスキルによるバラツキを抑えて、開発品質を保ちたい」といった具合だ。

総合技術研究所 OSSセンター
利用技術一室 室長
山本 史朗氏
そうしたニーズに応えられるものとして、数年前よりフレームワークを活用することが一般的となっている。しかし、大規模な開発を短期間で実現するには、単にフレームワークを適用するだけでは不十分である。それらを具体的にどう適用し、開発運用として周知させるかにより、開発プロジェクトの成否が大きくわかれることになる。
日本国内で50年以上システム構築に携わってきている日本ユニシスでも、300人月以上の中大規模プロジェクト向けのフレームワーク「LWF」(LUCINA® Web Foundation)を2002年から提供してきた。しかし、大規模案件を短期間で確実に完遂するには、開発運用とフレームワークを上手く融合し、適用しなければ効果が得られない。そこで同社は、開発プロセスと支援ツール、そしてフレームワークを融合した開発標準としてLWFをパワーアップ、アプリケーション開発標準「MIDMOST® for Java™ EE」シリーズとして、2007年から提供を始めた。LWFのメリットについて、同社総合技術研究所OSSセンターの山本史朗氏は、「設計思想やフレームワークに基づく“開発標準”を作ることで、プロジェクトの“ディスコミュニケーション”を減らせることができる」と説明している。