ソフトウェアメーカーなどで構成される一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)は、パッケージソフトウェア品質認証制度を2013年度から開始すると発表。同制度の申請者用ガイドブックβ版を2012年6月13日から公開すると発表した。
パッケージソフトウェア品質認証制度は、国際標準規格であるISO/IEC25051とJISX25051に準拠したもので、「国産パッケージソフトウェアの品質が、世界で通用することを証明する活動になる」(同協会パッケージソフトウェア品質基準委員会・藤井洋一委員長=日本ナレッジ社長)と位置づけている。
対象とするパッケージソフトウェアの製品説明書とユーザーマニュアルに、ISO/IEC25051に規定される品質に関する事項が適切に記載されるとともに製品説明にも記述されていること、ユーザーマニュアルに記載されていることが確実にソフトウェアに実装されていることによって、品質を認証するという。
藤井洋一氏
CSAJが委託する第3者機関で認定作業を行い、これをCSAJが認定するもので、「ソフトウェアの規模にもよるが、認定作業には3カ月から半年程度かかる。ソフトメーカーが、なるべく安価な費用で認証が行えるように準備を進めたい」(藤井委員長)としている。
製造業においては、製品品質は開発元や供給元自らが保証する仕組みが一般的だったが、グローバル化の流れのなかで、第三者機関による認証の動きが加速。パッケージソフトウェアの世界でも同様の流れが生まれつつある。
「グローバル市場における国産パッケージソフトウェアの品質保証という観点、あるいは提供側の責任が重くなるなかで、メーカーが不利益を負わないための仕組みが求められている。そうした点でも、この仕組みはメリットがある。韓国ではグッドソフトウェア制度と呼ばれる品質保証の仕組みがあり、この認定を受けていると、公共入札の際に品質面での保証が得られたり、金融機関から低金利での融資が受けられるといった、国がバックアップする姿勢が確立されている。日本ではこうしたメリットを打ち出せる段階にはないが、一日も早く制度をスタートさせ、韓国同様になにかしらのメリットが受けられるように働きかけもしていきたい」などとした。
2012年6月13日、96ページに渡る申請者ガイドブックβ版を同協会サイトで公開。2012年9月以降、認証制度のトライアルを開始し、2013年4月以降に認証制度の本格運用を開始する予定だ。
一方、2012年6月13日に開催した第27回定時総会において、新年度の会長に引き続き和田成史氏(オービックビジネスコンサルタント社長)を選出。副会長には、襟川恵子氏(コーエーテクモホールディングス名誉会長)、木下仁氏(アールワークス社長)、山本祥之氏(インテリジェントウェイブ社長)、萩原紀男氏(豆蔵ホールディングス社長)、豊田崇克氏(ネクストウェア社長)がそれぞれ就任した。
新年度の重点活動として、「パッケージソフトウェア品質認証制度の立ち上げ」「中国ソフトウェア産業協会(CSIA)との協力関係の強化」「ソフトウェア技術に関する研究活動の強化」に取り組むほか、「新しい時代の情報インフラを提供する通信企業やハードウェア関連企業との連携を強化しつつ、オープン、フェア、グローバルの基本理念を掲げ、クラウドやモバイル関連の新技術の研究、ソフトウェア製品の品質認証制度に関する研究、CAD利用技術者試験などの認定試験、産学連携などを通じた人材の育成、海外市場の開拓支援、ベンチャー企業の育成、プライバシーマーク審査事業などの幅広い活動を続けていく」としている。
前川徹氏
同協会・前川徹専務理事は、「ソフトウェア技術に関する研究活動の強化では、SaaS、クラウドコンピューティング、モバイルなどのソフトウェアの新技術の動向に関する調査研究を強化し、セミナーなどを通じて会員に情報を発信する。モバイル向けソフトウェア開発に必要な最先端技術に焦点をあてるほか、クラウドにおけるモバイル技術の活用、ビッグデータの活用といった点での調査研究も行っていくことになるだろう」とした。
なお、同協会が行っている「第9回アライアンス大賞」の受賞企業も発表した。同大賞は、企業間のビジネスアライアンスの活性化を目的に実施しているアライアンスビジネス交流会において、2011年度にプレゼンテーションを行った32社のなかかから、提携実績などを評価および審査して表彰するもの。優秀賞には多業種対応クラウド型予約管理システム「Choice RESERVE」のビットリンク、奨励賞にはスマートフォン遠隔セキュリティサービス「Mobi Connect」のインヴェンティット、特別賞にはクラッキングを防止する耐タンパセキュリティソフト「CrackProof for Android」のハイパーテックがそれぞれ選ばれた。
また、同協会が実施しているCAD利用技術者試験制度については2級CBT(Computer Based Testing)試験において、2013年度4月以降、これまで団体を対象としていたものを個人にまで拡大。また、2013年度前期試験から、3次元CAD利用技術者試験2級の出題形式を変更し、より総合力を問う内容にすると発表した。
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