自動車メーカー経営トップが見せた「楽しさ」 IT業界は訴求しているか

大河原克行

2011-12-06 12:00

 第42回東京モーターショー2011が、12月3日から11日まで東京・有明の東京ビッグサイトで一般公開されている。

 エコカーや次世代電気自動車などが注目を集めるなかで、今回の東京モーターショーで感じたのは、自動車とITとの連動がさらに進んだ点だといえよう。主要各社がEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)などの次世代自動車を展示するとともに、電気自動車ならではといえるITとの連動提案が目立っていたことが特筆される。

 その最たる例が、トヨタが参考展示した電気自動車のコンセプトカー「TOYOTA Fun-Vii」であろう。

 トヨタ自動車代表取締役社長の豊田章男氏が「スマートフォンにタイヤをつけたような車両」と表現したように、人と車が「つながる」ことを提案した未来カーだ。

 ボディ全面をディスプレイとしており、手元にあるスマートフォンやタブレット端末からアプリケーションをダウンロードする感覚で内外装を自由に変更でき、自動車自身を情報端末として情報を表示させることができる。

 リアルタイムにボディのイメージを変更することで、出会った友人の車両ともコミュニケーションが可能になる、といった驚くべき使い方もできる。

 これ以外にもトヨタ自動車は「つながる」というメッセージを訴求。まさにIT産業のようなメッセージを打ち出していたのが印象的だ。

  • コンセプトカー「TOYOTA Fun-Vii」

  • ボディ前面がディスプレイとなる

 もうひとつ注目されるのが、会場内に日本自動車工業会の展示エリアとして用意された「スマートモビリティ2011」での各種展示だ。同コーナーのトヨタブースでは、スマートフォンを車内に置くだけで、スマートフォンの画面を表示し、各種操作が行える装置のプロトタイプを展示。さらに、2012年1月から発売するという「H2V Manager」では、電気自動車などと連動したホーム・エネルギー・マネジメントを実現する様子を示してみせた。

 また、安全運転支援の観点からも今後の普及が期待されるITSスポット対応カーナビや、スマートフォンをそのままカーナビとして利用するNTTドコモのDriveNetの展示のほか、電気自動車には不可欠となる充電スポットを表示するサービスなど、社会インフラとサービスを連動させた展示も増加していた。

  • ITSスポットサービスの展示

  • NTTドコモのDriveNet

  • 充電施設を地図上に表示するデモ

 このようにこれからの自動車産業は、あらゆる場面でITとの結びつきがより密接になることを感じさせる内容だったといっていい。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

  2. ビジネスアプリケーション

    Google が推奨する生成 AI のスタートアップガイド、 AI を活用して市場投入への時間を短縮

  3. セキュリティ

    「2024年版脅威ハンティングレポート」より—アジアでサイバー攻撃の標的になりやすい業界とは?

  4. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  5. クラウドコンピューティング

    生成 AI リスクにも対応、調査から考察する Web ブラウザを主体としたゼロトラストセキュリティ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]