MIJS企業訪問 ガイア--オブジェクト指向とオープンソースによるERPで目指すSaaSのリーダー

新しいコンセプトと基本構造を持つERPシステムを開発することを目的に、2002年5月に設立されたガイア。同社の代表取締役社長、中道徹氏は、創業に至った理由を次のように語る。

山下竜大(ライトセブン)  2008年9月2日 15時00分

オブジェクト指向とオープンソースが鍵

 現在、9つのサブシステムで構成されているJGAIAは、ベンチャー企業が開発したERPシステムとしては、かなり巨大なパッケージシステムだ。しかし、同規模のERPシステムで一般的に必要といわれている開発コストの半分で開発されたという。

 中道氏は、「オブジェクト指向の開発手法とオープンソースソフトウェアの利用及びWeb対応により、他社が追随できない価格戦略を実現できました。おかげで、JGAIAはすでに国内5社で採用されており、現在1500名規模の企業にも導入中です」と話す。

 「ただしERP製品は一般の方には理解しにくく、どんなに素晴らしいものでも実績がなければなかなか採用してもらえません。そこで考えたのが、特長のある機能を切り出して提供することです」(中道氏)

 現在、多くの企業では、すでに何らかのERPシステムが導入されている。そのため、ERPシステムのすべてをリプレイスしてもらうことはなかなか難しい。そこで、とりあえず既存のERPシステムはそのまま利用してもらいながら、必要な機能だけを導入してもらおうという戦略だ。それを具現化するのが、JGAIA最大の特長のひとつでもある「経営管理情報システム」の提供だ。

 「経営管理情報機能は、これまでのERPシステムから抜けていた機能で、この機能を作るためにERPを作ったといっても過言ではないほどです。他社ERPでは、BIツールを組み合わせても、コンサルティングから設計、構築までで数億円が必要でした。ここに大きなビジネスチャンスがあると考えました」(中道氏)

 ガイアでは、経営管理情報システムに加え、JGAIAから「連結決算支援システム」に関する機能も切り出し、既存システムや他社製システムと連携できる機能を実現。短期間、低コストで、経営管理情報システムや連結決算支援システムを作り上げる仕組みを実現している。

株式会社ガイア 取締役 法政大学 情報科学部 情報科学研究科長 工学博士 大森 健児氏 株式会社ガイア
取締役
法政大学 情報科学部
情報科学研究科長
工学博士 大森 健児氏

 大森氏は、「JGAIAは、オブジェクト指向技術を取り入れ、SOA的な構成で開発されています。そのため、必要な機能だけを簡単にコンポーネントとして切り出すことができる構造になっているのです」と話す。

 中道氏は、「我々の経営管理情報システムや連結決算支援システムを利用することで、これまでの5分の1から10分の1程度のコストで経営管理情報システムや連結決算支援システムを実現できます。特に販売パートナーに好評で、ぜひ販売したいと言ってもらっています」と話している。

 また、経営管理情報システムでは、オープンのBIツールを搭載していたが、現在はより相性の良いウイングアークの多次元高速集計検索エンジン「Dr.Sum EA」との連携を実現している。将来的には、SAPのBIツールである「Business Objects」など、ほかのBI製品との連携も計画されている。ウイングアークとの協業は、ガイアがMIJSコンソーシアムに参加する引き金にもなっている。

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http://japan.zdnet.com/extra/mijs_200808/story/0,3800088770,20379058,00.htm
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