同セミナーの基調講演には、リアルコム 取締役CMOである吉田健一氏と同プリンシパルコンサルタントの松本崇志氏が登場。「Enterprise2.0時代に求められるエンタープライズサーチとは 〜最新動向と価値最大化のアプローチ」をテーマに講演した。
吉田氏は、エンタープライズ2.0について、ウェブ2.0の技術やコンセプトに影響を受け、進化する次世代企業情報システムにフォーカス。その本質は「ITコンシュマライゼーションによって起こったITベンダーからエンドユーザーへのパワーシフト」と指摘した。ITコンシュマライゼーションとは、軍需・企業向けの技術が消費者向けに転用される従来の流れが逆転し、消費者向けの技術が企業向けに転用される現象のことだ。これによりITは「つくる」から「使う」にシフトし、エンドユーザーが家庭で利用されている技術があり、それが全社導入されるトレンドがあると説明した。
松本氏は「エンタープライズ2.0は、人と人とが組織の壁を超えて有機的につながった、21世紀のワークスタイルを実現する。エンタープライズサーチはエンタープライズ2.0の土台をなすもの」と話した。また、同氏は、エンタープライズサーチに求められるのは「ソーシャルアプローチ」と指摘。Amazon.comのパーソナライズレコメンデーションを例に、エンタープライズサーチにもメタデータ、アイデンティティ、ログといった情報を活用することで、検索効率や生産性を向上できることが求められると説明した。
同氏は、検索エンジンの導入は「課題解決の手段」と考え、「まず対象となる組織・業務の選定と目的を定義し、次に現状調査を行い、改善策の検討と改善目標の設定を行うべき」と話した。
事例セッションでは、NECソフト ITシステム事業部 プロジェクトマネージャーである後藤和博氏が登場。「エンタープライズチーム先進事例のご紹介 〜大規模構築事例のご紹介と構築のポイント〜」と題し講演した。
後藤氏は、検索精度向上に取り組んだ大手製造業のコールセンター部門の事例、セキュリティと情報共有を両立されせた医療系研究所の情報システム部門の事例、そして紙の書類を電子化し、情報の共有・検索によって業務効率の改善に取り組んだ官公庁の事例を紹介。「セキュリティと情報共有のバランスがポイント」と話した。
また、NECソフトの検索関連ソリューションとして、統合型ナレッジマネジメント基盤となる「KnowledgeWorld」、目的特化型ナレッジマネジメント 株主総会運営支援システムである「KaBridge」、大規模分散ストレージの「Isilon」などを紹介した。