RSA、「モバイルマルウェアが増加する」--Android向けアプリですでにスパイウェア発覚も

藤本京子(編集部)

2011-01-21 19:39

 EMCジャパンのRSA事業本部は1月21日、オンライン詐欺に関する説明会を開催、2011年にインターネットを襲うであろうサイバー犯罪のトレンドについて解説した。

 説明にあたったEMCジャパン RSA事業本部 マーケティング部 シニアマーケティング・プログラムマネージャーの水村明博氏はまず、2010年12月末から2011年1月はじめにかけてある事件が起こったことを明かした。国内金融機関をかたる不正なサイトが乱立したのだ。その数は、地方銀行やオンライン専業銀行などを含む136行にものぼったという。

水村氏 EMCジャパン RSA事業本部 マーケティング部 シニアマーケティング・プログラムマネージャー 水村明博氏

 水村氏によると今回の件では、現金をエサにメールの受信者をサイトに誘導し、金融商品を紹介する一方で、リンク先にクレジットカード情報や携帯電話番号の入力を求めるケースがあったという。RSAオンライン不正対策司令センター(AFCC)では、136行の偽サイトへのリンクを確認しており、これらの銀行すべてが犯行組織の標的となった可能性があるとしている。すでにこれらのサイトは閉鎖されているが、水村氏は「かつては大手銀行や世界的なクレジットカード会社が標的とされていたが、今では規模や知名度にかかわらずあらゆる金融機関が狙われていることが浮き彫りになった」としている。

 次に水村氏は、2011年のサイバー犯罪のトレンドとして、スマートフォンを狙ったモバイルマルウェアが増加することを挙げる。「スマートフォンはコンシューマーのみならずビジネスユーザーにも広がっており、オンライン犯罪者たちの新たな収益機会につながっている。スマートフォン向けアプリケーションのダウンロード数も急増しているが、開発者の参入促進のため障壁が低く、セキュリティスキルの低い開発者によるぜい弱なアプリケーションが増加するだろう」と水村氏。すでにAndroid端末向けのオンラインバンキングアプリケーションでスパイウェアのようなものが含まれていたケースが海外で発覚しているという。

 また水村氏は、企業ネットワークへのマルウェアの侵入も2011年のトレンドとなると指摘する。その原因のひとつはSNSの普及だ。水村氏は、Facebookユーザーの5人に1人がマルウェアに感染しているという調査結果から、「SNSは諸刃の剣にもなり得るため、SNSの個人的利用や自社のマーケティングへの活用を制限すべきか悩んでいる企業が多い」と話す。

 企業ネットワークが狙われるもうひとつの原因は、モバイルPCやスマートフォンといった多様なデバイスが浸透していることだ。RSAでは、CyberCrime Intelligence Serviceにて企業の感染具合を調べており、水村氏は「Fortune 500にリストされた企業の中で、ドメインがボットネットの活動に関与している企業は88%。また、従業員のメールアドレスがマルウェア感染リストに入っている企業も全体の60%にのぼっている」と警告している。

 さらに水村氏は、フィッシング攻撃が進化することも2011年のトレンドとして挙げている。「国内金融機関をかたった不正サイトもそうだが、同時に複数の標的を狙うフィッシング攻撃がますます増加する」と水村氏。海外では、税務署からの重要な通知を装ったフィッシングメールや、大手飲料会社などによる顧客満足度調査を装った攻撃もあったという。フィッシングは、準備費用も最小限で技術的な知識もほとんど必要ないため、2011年も1回で複数の標的を攻撃するための機能やワンタイムパスワードを横取りする機能を持ったフィッシングキットの開発が続くとして、RSAでは注意を呼びかけている。

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