「ビッグデータと小画面の組み合わせが今大きなトレンドになりつつある」
米ZDNetのブロガー、アンドリュー・ブラスト氏は指摘する。タブレッドでダッシュボードを利用したいというニーズが米企業の経営層の間で急速に高まっていることが背景とする。「一握りのユーザーのニーズが重要なトレンドをつくっている」(同氏)状況のようだ。
ここで、ブラスト氏が触れたBI企業が米マイクロストラテジーだ。同社はBI企業だが、Clouderaとのパートナー関係などを通じ、Hadoopへの接続をサポートすることで、ビッグデータの分析を可能にしたという。さらに分析データを最大限に活用するためのフロントエンドの取り組みとして、同社がここ数年注力しているのが、iPadを用いたBI活用環境だ。
来日したダン・カーズナー氏
来日したマイクロストラテジーのモバイル事業担当上級副社長、ダン・カーズナー氏は「アパレル企業のGuessでは海外を行き来するバイヤーがiPadを使い、服の写真とそれと連動する分析データを参照して業務を進めている」との事例を紹介。機動力の面でも、iPadなどのモバイル端末ならではの使われ方が増えていると指摘した。
米国でiPadを企業が活用する典型的なケースとして、店舗運営での活用が挙げられる。オーガニックフードを扱う米テキサス州のWhole Foods Marketは、米英カナダに300店舗以上を展開し、6万人の従業員を抱え、約7000億円の売り上げ規模を持つ大企業で、iPhoneで販売分析、製品分析、労働分析を実施している。
カーズナー氏によると、Whole Foods Marketではストアマネージャーが強い権力を持ち、仕入れから販売に至るまで経営全般を任されているという。各店舗は実質的に「ライバル同士として競争している状況」だ。ストアマネージャーは、マイクロストラテジーのBIソフトウェアが分析した魚介類、精肉類といった各部門の売り上げや利益などのデータをiPhoneで常に把握している。
手元で最新の情報が分かるため、ストアマネージャーは的確なタイミングで手が打てるようになり、店舗運営の効率化と顧客サービスの向上の両方を実現できた。
複雑な分析が手元で自由にできる利点は大きい
これまで、iPadを利用したビジネスアプリケーションの中心は、重たい紙のカタログを営業担当者が持ち歩かなくて済むようになる「電子カタログ」などの使い方が主流だった。
マイクロストラテジーの現在の事業の柱は「モビリティ」と「BI」、クラウドでBIが利用できるようにする「クラウドインテリジェンス」、Facebookなどソーシャルの仕組みを利用する「ソーシャルインテリジェンス」の4つ。今も比率としては、本業であるBIの割合が大きいが「モビリティの売り上げが右肩上がり」(同)だという。
今後は、マイクロストラテジーやSAPなど複雑な分析ができるBIソフトウェアを提供するIT企業が企業向けモバイルに参入することで、より複雑な分析をタブレッド上で簡単に実施できるようになり、それが企業にとっては競合企業を引き離す切り札になり得る。
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