日本マイクロソフトは10月2日、記者発表会を開催し、トヨタ自動車のグローバルなITコミュニケーション基盤にマイクロソフトプラットフォームが全面採用されたと発表した。計画通りに導入が進めば、2014年にワールドワイドのトヨタ社員20万人がマイクロソフト基盤を利用することになる。これは全世界のマイクロソフトにおいても最大規模で、日本法人のみならず全世界のマイクロソフトが導入に向け支援する。
今回の発表は、2011年4月に発表された「Windows Azureをベースとしたトヨタの次世代テレマティクス向けグローバルプラットフォームの構築に向けた戦略的提携」の一環として実施された。
リーマンショックや震災がきっかけに
トヨタではこれまで各国が独自に採用したExchange ServerやNotesなどを利用していた。国をまたいだ各法人間の情報共有は、メールやテレビ会議システムを使っていたという。
トヨタ自動車の情報システム領域ITマネジメント部の北沢宏明部長
今回のシステム刷新について、トヨタ自動車の情報システム領域ITマネジメント部の北沢宏明部長は「リーマンショック以降、東日本大震災、タイの洪水、トヨタ自身の問題と様々な問題に直面した。地域毎の連携をしっかりととることができるようなIT基盤をできるだけ早期に導入する必要性があると感じた」と話す。
具体的には、グローバルコミュニケーション基盤を整備することで機動力の強化、グローバルレベルでの知見および情報の共有、会議の高度化を目指す。グローバルでの戦略的コミュニケーションを行う必要性を感じたことから、新しいコミュニケーション基盤への入れ替えを行うとしている。
コミュニケーション環境としては、Outlook、Exchange Serverによるメールおよびスケジュール予約、Lync、Lync Serverを利用したチャットなどリアルタイムコミュニケーション、SharePointを利用したポータルサイト、Office 2010、Windows Rights Management Servicesを利用した機密文書の利用禁止やコピー禁止といったセキュリティ対策などを行う。
利用するデバイスはパソコンをはじめ、スマートフォン、タブレットなどを対象とし、iPhoneやiPadなどマイクロソフト製品以外との連携も行えるマルチデバイス対応とする。
今回の刷新にあたり、1つの課題として認識されるクラウドのセキュリティへの信頼性について、北沢氏は「トヨタとマイクロソフトなどが連携し、ベンチマークを作成して半年にわたってセキュリティを評価した」とコメント。データの格納方法などについて「オンプレミス型と安全性が変わらないことを確認した」上で、導入の判断を下したという。
トヨタ専有型のOffice 365を展開
日本ではオンプレミスとプライベートクラウドのハイブリッドとするが、他の国ではトヨタ専有型のOffice 365を導入し、運用コストの低減などを進める。