IDC Japanは9月7日、国内x86サーバ市場のチャネル別出荷動向を発表した。同市場で2010年にオープンチャネル向けに出荷されたx86サーバの台数は22万9000台で、全出荷台数の4割強を占めた。
今回の調査では、商品流通ルートを「ベンダーダイレクト出荷」「関連会社向け出荷」「オープンチャネル向け出荷」に区分している。
2010年にオープンチャネル向けに出荷されたx86サーバの台数について、IDCがサーバベンダー別に集計した結果、HPがトップとなり40%のシェアを獲得した。2位はNEC、3位はIBM、4位は富士通という順位だった。
IDCによると、NECはx86サーバ製品を取り扱うオープンチャネルは多いものの、HPのボリュームには及ばなかったとしている。また、大手ディストリビューターの多くが取り扱っているIBMは、オープンチャネル市場で長年に渡りHPとの競合状態が続いている。一方の富士通は、オープンチャネル市場のシェアを急速に上げてきており、シェア拡大を狙ってオープンチャネル市場に攻勢をかけているとIDCでは説明している。
2010年のオープンチャネル向け出荷台数は、ダイワボウ情報システム、ソフトバンクBB、大塚商会の大手ディストリビューター3社で65%を占めた。2004年当時、同市場で3社の取り扱う出荷台数比率は、3社合わせても40%に届かなかったが、現在は増加傾向を示している。
3社はそれぞれ独自のビジネスモデルを展開しているが、複数のサーバベンダー製品と、他のハードウェアやソフトウェア製品を幅広く取り扱っている点が共通した特長。このことから、多くのオープンチャネルがサーバベンダーからの直接購入より、「ワンストップ購入」および「幅広い購入選択肢」が可能な大手ディストリビューターからの購入に切り替えてきており、これが大手ディストリビューターの取り扱い比率増加に繋がったとIDCでは分析している。
IDC Japan、サーバー リサーチマネージャーの都築裕之氏は「サーバベンダーにとって、オープンチャネル市場の理解を深めることは、今後の市場戦略において重要なポイントとなる。オープンチャネルは、それぞれに特長的なビジネスモデルと販売チャネルを持っている。サーバベンダーは、独自性を持った各チャネルに最適な支援策の提供を目指すべきだ。また、市場を取り巻く環境が大きく変化しており、市場変化、ユーザー志向変化に対応したソリューションについて、オープンチャネルとの協業を強化すべきだ」とコメントしている。