富士通研究所は4月8日、主な研究テーマについて説明した。同研究所は現在、ブレードなど個々のコンピュータを最小構成単位とした際の情報システムを構成する全階層のIP化と、IP化の次のフェーズである資源の仮想化のための構成要素の一つとなるグリッドコンピューティングを主な研究対象としている。現在ではシミュレーションのために使われるグリッドを汎用的な業務に応用する姿や、使った分だけ課金するユーティリティコンピューティングの可能性についても触れた。
IP化はこうだ。3階層ウェブシステムを構成する全階層で、資源と資源をイーサネットとIPで通信するようになる「ALL-IP」を掲げる。従来は、ウェブサーバとアプリケーションサーバ間、アプリケーションサーバとデータベースサーバ間こそイーサネットであるものの、ディスクをつなぐSAN(Storage Area Network)やサーバ間接続は専用のネットワークを使っているのが実情だった。
現在、サーバ間を密に接続するインターコネクトにはInfiniBandなど専用の通信規格を用いている。これに対して富士通研究所常務取締役(ITコア研究所、ソリューション研究開発室、Web&IP研究センター担当)の宮澤君夫氏は「今後はイーサネットとIPでつなぐようになる」と説明、「IPは確かにCPU負荷が高く遅延も大きいが、単純化と低価格化が可能になる」と、そのメリットを強調した。
ユーザーもいる。例えば、理化学研究所は、1024ノードで構成する1束のPCクラスタを2系統用意し、この2つのPCクラスタ同士をイーサネットで接続し、合計で2048ノードのクラスタとして使っている。1024ノードのクラスタ自体は専用のインターコネクト装置で接続しているが、クラスタとクラスタをつないで巨大なクラスタを構成する際にイーサネットを使っている例である。富士通研究所は、いずれは個々のノード間の通信へとイーサネットの適用分野が広がると見ている。
こうしたIP化の取り組みとして同研究所は、10Gビット/秒のレイヤ2スイッチLSIをワンチップで実現済み。LSIを搭載したL2スイッチ「XGシリーズ」を市場に投入している。LSIのワンチップ化により小型化が可能になったため、スイッチは高さ2Uの製品と1Uの製品を用意することに成功した。同チップの性能は、転送帯域240Gビット/秒と銅線による25メートルの伝送距離を実現し、レイテンシ(遅延)は450ナノ秒に抑えている。インターフェースは、10GBASE-CX4を使う。
10Gビット/秒のスイッチはすでに市場にあるが、スイッチに収納するサーバ側に10Gビット/秒のインターフェースを実装する時期は「2005年秋以降」になる。サーバと同様、ディスクストレージもイーサネットインターフェースを搭載し、iSCSIで利用するようになるとしている。iSCSIベースで、現状のSANで実現している仮想化を実現させる狙いである。
市場の需要としては、10Gイーサネットスイッチの市場は、2005年〜2006年にかけて急激に立ち上がると見られている。
また、グリッドの社内利用例として富士通研究所は同日、LSIの試験や動画符号化アルゴリズムの開発など社内の研究開発に用いる科学技術計算機を、日本と米国を合わせて従来の約3倍の規模となる2000ノード以上に増やしたことを明らかにした。同社のグリッドコンピューテング用のミドルウエア「CyberGRIP」を用い、日本と米国にまたがるグリッド資源を適材適所で使い分ける。
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