ムーアの法則は「コンピュータ評論家の飯のタネ」だということを述べた私の記事をご記憶だろうか?
かつて、マイクロプロセッサに関する一般向け記事という狭い業界には、いつでも使えるコラムの題材がもう1つあった。「RISC対CISC」だ。
コンピュータの黎明期、コンピュータルームには冷蔵庫サイズのCPUキャビネットがずらりと並び、メモリ容量は非常に限られていた。コンピュータ科学者たちはこういったマシンでどのようにプログラムを実行すべきかを検討し、新たな命令を定義することでプログラムを切り詰め、高速化する方法を探していたものだ。
たとえば、あるデータベースアプリケーションが、あるアドレスからデータを取り出し、アドレスに1を加え、さらに同じ作業を繰り返すことが分かったとする。同じシリーズの次期マシンでは、新たな論理回路を組み込んで、データの取り出しとアドレスのインクリメントを同時に行う単一の命令を実装するかもしれない。そうすれば、プログラムは1命令分だけ短くなり、少しだけ高速化できるというわけだ。
こうしてCISC(複合命令セットコンピュータ)ができあがった。Advanced Micro Devices(AMD)やIntelのx86プロセッサは、CISCプロセッサの一例だ。
現行のコンピュータアーキテクチャすべてから見て祖型とも言えるIBMの「zSeries」には、894もの異なる命令がある(プロセッサに関する国際学会「Hot Chips 19」でIBMが行った「z6」に関するプレゼンテーションについて、ブログの中で述べたとおりだ)。
しかし、1960年代や1970年代においても、IBMやControl Data Corporation(CDC)には異なるアプローチを研究している人々がいた。RISC(縮小命令セットコンピュータ)という名で知られるようになった手法だ。RISCの基本となる考えは、比較的少数の命令と標準的な論理設計を採用し、特殊な用途の命令を排して高速化と効率化を図るというものだ。
1990年代に入ると、RISCとCISCはどちらが優れたアプローチなのかという論争が巻き起こった。特に、私が以前勤めていた「Microprocessor Report」のニューズレターでは議論が盛んだった。
しかし結局のところ、ソフトウェアの設計はCISC的だがハードウェアの設計はRISC的ということになり、双方とも勝ったと言える。x86アーキテクチャはパソコン市場やサーバ市場で主流となっているが、その内部構造は非常にRISC的だ。このような組み合わせ方は、1つの複雑な命令を数個の単純な命令に翻訳することにより可能となった。面倒なやり方に思えるかもしれないが、実際うまくいっている。この手法が一般的になったのは10年ほど前からだ。
こうしたいきさつを思い出したのは、8月30日のAMDの発表があったからだ。AMDは次期CUPコア「Bulldozer」(開発コード名)にマルチメディア用の新たな命令セットを追加し、その名称は「SSE5」(SSEはStreaming SIMD Extensionsの略)だという。
AMDがこの名称を用いるのは、かなり奇妙だ。「SSE」という名のついた拡張命令セットはこれまでに4種類あるが、それらはIntelが定義したものだったからだ。AMDがこの名称を使用することについてどう感じているのか、また、自社のプロセッサにSSE5を取り入れる予定があるのかどうか、Intelは明らかにしていない。AMDの方は、Intelの拡張命令セット「SSE」「SSE2」「SSE3」を採用しており、Intelが2007年に入って発表した「SSE4」もその一部を取り入れる予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
関連情報
-
AMD、x86拡張命令セット「SSE5」を発表--ゲームやマルチメディアアプリを高速化
AMDがソフトウェア開発者に、今後のゲームアプリケーションやメディアアプリケーション開発において、同社の新しいx86命令への対応を検討するよう呼びかけている。 - 「Penryn」プロセッサの準備を進めるインテル--第1四半期に11機種を予定か
- 「Fusion」チップは2種類--AMD、開発計画を明らかに
- インテル、x86命令を拡張--検索やマルチメディア処理を高速化 [From CNET Japan]
- インテルCEO:「ムーアの法則に限界は見あたらない」 [From CNET Japan]
「ハードウェア」 のバックナンバー
-
レノボ、ThinkCentre初の企業向けオールインワンPC「A70z」発表
レノボ・ジャパンは11月25日、企業向けデスクトップPC「ThinkCentre A70z All-In-One」を発表した。 -
レノボ、中小企業向けサーバの新製品を発表--Xeon 3400番台を搭載
-
2013年までに企業PCの約4割が仮想化される:IDC予想
-
日立ソフト、SecureOnlineにパンデミック対策と海外利用者向けサービス追加
-
3PAR、InServストレージサーバの利用効率を高めるソフトウェア4製品を発表
- ハードウェア 一覧へ »
-
BIベンダーの選び方 −BIベンダー選定のための評価フレームワーク
- 日本モバイルインターネット端末市場分析 〜2008〜2012年のMID及びスマートフォン...
- 【導入事例集】多業種から評価されているWeb会議システム、24社の導入事例をご紹介
- CRMの限界を超える!「顧客経験価値マネジメント」実現の5段階
- POSデータを活用し、売上アップを導く「分析力」とは?
- ストレージ問題の課題に対する解決方法
- 企業コスト削減の傾向と対策 〜最新アプローチのトレンド〜
- iPhoneをビジネスで活用する時代へ〜ビジネス&モバイルのミライ〜
- 【日産自動車:BI導入事例】連結対象の36社からの情報を元に車種別損益管理を実現
- 中堅企業におけるテクノロジーと成長
企画特集
-
企業ITシステムの企画、構築、運用のイロハ
戦略的なITシステムのために、今考えるべきポイント -
グリー、3人のエンジニアが語る仕事への想い
連載第2話、元SIerに聞くリニューアルと開発の舞台裏 -
マネジメントの「コラム」と「コネタ」
今日のキーパーソンは誰? -
高まるiSCSIストレージへの注目度
ストレージシステムの4つの課題とiSCSI導入のメリット -
電力に"ふた"をする独自の省エネ機能とは!?
動的に電力割り当ても可能なHPの最新鋭ブレードに迫る -
大丈夫?あなたの会社のセキュリティ対策
中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティを考える -
―エン・ジャパン厳選求人☆毎週更新―
ハンゲームの社長が語る・人材とサービスの在り方 -
100万円で実現!中小企業の情報漏えい対策
中小企業の課題!?セキュリティ管理者不在でも大丈夫 -
【最終警告】パンデミック対策特集
サービス品質を保証するためのリスクマネジメントとは -
容量制限によるメール消去は一切無し!
全てを保存するメールセキュリティSaaSが登場 -
急増するオンライン犯罪への解決策!
オンラインサービス保護ソリューション -
J-SOX法制定により内部統制の整備が急務に
重要性高まるActive Directoryの課題と対処法を公開中
-
11. Lock分析とWait分析
この3分間のビデオでは、アプリケーションのクリティカルセクションを分... -
12. 高度な診断
この3分間のビデオでは、Intel parallel Composerが、Intel C++コンパイ...
新着企業動向
-
アズジェント、ブルーコートシステムズ社とディストリビュータ契約を締結
アズジェント -
ポイントは、『シンプル&セキュア』、限れたリソースで効果的にセキュリティを高める方法
ミラポイントジャパン -
事例のご紹介 Vol.14 | 情報インフラの全体最適化
EMCジャパン -
メールセキュリティSaaS『Mail Luck!セキュアタイプ』
NTTPCコミュニケーションズ(ネットワーク事業部) - 企業動向一覧へ»
