Novellの最高経営責任者(CEO)は米国時間11月20日、LinuxがMicrosoftの特許を侵害しているとするMicrosoftの主張に異議を唱える文書をオープンソースコミュニティーに公表した。
NovellのRon Hovsepian氏はこの公開書簡のなかで、11月上旬に署名を交わした提携の理論的根拠について概説した。この提携により、MicrosoftはNovellの製品であるSUSE Linuxのユーザーをサポートするとともに法的に保証することになる。両社はまた、製品の互換性実現に向けて協力することにも同意している。
Microsoft CEOのSteve Ballmer氏は先週、Linuxは「われわれが特許を持つ知的財産を利用している」とコメントしたが、Hovsepian氏はこれも問題視している。
MicrosoftとNovellの提携においては、特許問題に関連して両社がそれぞれの顧客を訴えないことがうたわれている。
しかしHovsepian氏によると、この特許関連条項があるからといって、SUSE LinuxがMicrosoftの特許を侵害していると認めたことにはつながらないという。
Hovsepian氏は、「MicrosoftがLinuxと特許に触れた先日のコメントには同意できない。重要なのは、われわれとMicrosoftとの合意が、LinuxによるMicrosoftの知的財産侵害を一切認めるものではない点だ。Novellは、特許関連でMicrosoftとの協力に合意した際、Linuxや他のNovell製品がMicrosoftの特許を侵害しているとの点について、同意することも、認めることもしていない」と語っている。
Microsoftの関係者は20日、Novellの書簡に対して声明を出し、この点について両社間に相違があることを明らかにした。
「Microsoftは、特許問題に関するNovellの立場については尊重するが、考え方は残念ながらやや異なる。Microsoftは独自に保有特許を分析した結果、これらの製品の顧客向けに特許誓約を用意することが必要であり、重要であるとの結論に達した」(同声明)
Hovsepian氏は先の書簡のなかで、Microsoftから先に特許誓約を求めてきたことを指摘した。これには、WindowsとLinuxの両方を利用する顧客を訴訟問題の可能性から開放し、「安心」させる狙いがあったと、同氏は語っている。
Microsoftは、20日に出した声明のなかで、今回の誓約の法的側面を「知的財産の面から、プロプラエタリなソフトウェアとオープンソースソフトウェアとの新たな橋渡しをする」取り組みだとした。
Ballmer氏はさらに、MicrosoftがほかのLinuxディストリビューター各社との間でも同様の法的および技術的提携を結ぼうとしていることも示唆した。
しかし、トップLinuxディストリビューターのRed Hatとの間には何の取り決めもない。Novellとの提携が発表された翌日、Red Hatは「技術革新税」は支払わない、とする声明を出して応戦している。
Free Software Foundation(FSF)の代理人を務める弁護士のEben Moglen氏によると、MicrosoftとNovellとの取り決めにより、Red Hatは競争上不利な立場に立たされるという。Linuxが採用するGNU General Public License(GPL)を策定したのがFSF。